2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653115
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 武男 筑波大学, 人間系, 教授 (40247945)
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Keywords | 環境モラル教育 / 環境教育 / 道徳教育 / 教材開発 |
Research Abstract |
平成22年度の研究によって見出された我が国の環境モラル教育の問題点、特に知識とモラルの乖離の問題を踏まえて、平成23年度にはとりわけドイツを中心に、ヨーロッパ諸国の知見を探ることにした。 ドイツの公立学校では、環境モラル教育を扱う授業としては、事実教授(Sachunterricht)という統合教科があげられることを確認した。そこでは、環境の複雑な関連性に着目させながら、環境保全の難しさを知識として子どもにわからせるとともに、それに対処しなければならない人間としての責任が教えられることになっていた。その際に、導入段階としてまず子どもになじみの深い郷土がしばしば教材の対象に取りあげられたうえで、環境に関する客観的な知識の習得にとどまることなく、子どもの感性や行為に働きかけるような工夫が垣間見られた。 また、いまやドイツの私立学校の代表と言われるシュタイナー学校では、毎日2時間続きのかたちで実践されているエポック授業のなかに、環境モラル教育の内容が含まれていることを確認した。周知のように、シュタイナー学校では、既成の教科書は使用されないために、公立学校のように、教科書で裏付けを取ることは不可能である。そのために、教科書の代わりになっている個々人のエポックノートを参照するとともに、現地での個々人へのインタビューによって裏付を得た。 なお、それらのドイツの動きとは異なったものとして、最近になってイギリスで注目されていたシチズンシップ教育にも、環境モラル教育の内容が部分的に含まれていることを確認した。つまり、ドイツとは異なり、理科的な要素をあまり入れることなく、社会科学的に環境モラルを教えようとする特徴が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外国調査の期間を十分に取ることができ、順調に研究資料を収集できているから。
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Strategy for Future Research Activity |
外国の様相から我が国の環境モラル教育の在り方を考えるならば、環境モラルについては、社会科や理科という教科の枠、さらには道徳の時間という特別な授業の枠のなかに閉じ込めるのではなく、総合的な学習の時間のなかで促進されるべきである、ということが明白になってきた。そのために、総合的な学習の時間における教材の開発という点に絞りながら、今後の研究を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)