2011 Fiscal Year Annual Research Report
「中1ギャップを探る」-不登校の年齢的変化に影響する要因の検討-
Project/Area Number |
22653117
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
川島 一夫 信州大学, 教育学部, 教授 (40135116)
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Keywords | 不登校 / 中1ギャップ / 自己意識 |
Research Abstract |
本研究での研究成果は以下ようにまとめられる。 これまでの検討結果は、中1ギャップの原因として、1,小学校と中学校の教育方針が異なるために、子どもの価値観に迷いがでるのではないか,2,中学校では教科ごとに教員が違う教科担任制に変わり、教師とのつながりが弱くなるからである,3,小学校時代の子どもの状況が中学校に伝わっていないために生ずる可能性と小学校に比べて学習内容が難しくなり学習につまずく生徒が増えてくることであった。 以上を検討する中から、1,不登校を個人の問題として考える立場と不登校を社会の問題として考える立場の教師及び保護者の意識の差についての検討を行うことが必要であること、2,地域、社会が子どもが学校へ行くことを大切にしているかと関連して,子どもが不登校になった場合その生涯賃金を考えると一人について社会全体の損失は計り知れないという問題を意識しているかということ.3,不登校の子どもたちの問題として多くの論文で取り上げられているが,不登校児がしっかりとした自己意識を持つために生きることについての明らかな生きることへの意志を持った大人が生活環境の中に必要であるにもかかわらず,周りにいる大人の自己意識が浅く自己決定力が少ないことという問題について検討する必要があるという結論に達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H23年度当初に計画した調査は,予定どおり完了した.これまで得られたデータを検討する中で,H24年度は応募時点での予測とは異なった方向で調査を行うことを考えている.これは,応募時点での計画とは方向が異なるが,研究としては,進展していることの証拠であると考える.特に,仮説として,これまで,他の研究において見られることの無かった不登校の経済的損失と登校を行うためのモデルとしての大人の欠如という点について新たな知見に繋げることができたため"(1)当初の計画以上に進展している"と評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は,以下の3つの問題について検討することである. 問題1:社会の問題としての不登校:不登校を個人の問題として考える立場と不登校を社会の問題として考える立場の教師及び保護者の意識の差についての検討を行うこと. 問題2:不登校の経済的損失について:地域、社会が子どもが学校へ行くことを大切にしているかと関連して,子どもが、不登校になると、その生涯賃金を考えると一人について社会全体の損失は計り知れないという問題を意識しているか. 問題3:不登校児の自己意識の発達についてのモデルがない:これは不登校の子どもたちの問題として多くの論文で取り上げられているが,不登校児がしっかりとした自己意識を持つために,生きることについてのはっきりとして意志を持った大人が生活環境の中に必要であるにもかかわらず,周りにいる大人の自己意識が浅く自己決定力が少ないという問題.
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Research Products
(1 results)