2010 Fiscal Year Annual Research Report
超磁歪アクチュエータによるパルスパワー生成と殺菌・ウイルス失活作用の研究
Project/Area Number |
22656067
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山田 外史 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (80019786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 繁男 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (70272953)
清水 宣明 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (50019634)
上野 敏幸 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (30338256)
柿川 真紀子 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (10359713)
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Keywords | アクチュエータ / 超磁歪 / パルスパワー / ラジカル / 殺菌 |
Research Abstract |
本研究は,磁歪アクチュエータによるキャビテーションパルスパワー(衝撃波,ラジカルの生成)により,バイオ環境の改善を目指す非化学的作用による環境に優しい斬新な技術の開発に向けた研究である。研究では,パルスパワー発生の単純で効果的な装置の検討,細菌・ウイルスを用いた生物学的評価を行った。 本研究の実施内容は大きく分けて2項目である。 (1)キャビテーション発生システムの性能向上と応用面からの基礎技術の検討 (1)連続プロセスのためのキャビテーション発生装置の製作と検証 従来の装置ではキャビテーション発生の閉空間内に浄化対象液を封入しており,機構の構造上,浄化対象液が多量にわたる場合には殺菌が困難であった。そこで,高圧ポンプ注入機構を持つ連続的な装置駆動が可能な機構を製作し,ウイルス,細菌<大腸菌>を用いた殺菌効果に供した。試験装置では,約700mLのヤビテーション発生空間に対して,浄化対象液2.5Lをポンプ流速2.5L/minで循環することができた。 (2)高周波駆動による開空間でのキャピテーション発生装置 磁歪材料を10-20kHzの高周波で駆動することにより,開空間においてキャビテーションの発生が可能である。この目的に適した磁歪材料(Galfenol)にて外部磁界印加形の小型のキャビテーション発生装置を製作し,キャビテーション+ラジカル発生を化学的評価法(メチレンブルー還元)による検証実験にて確認した。小容量の目的での用途として今後検討する。 (2)同システムの生物学的観点からの評価 提案装置の実用化の観点からウイルス(MSファージ)・細菌(大腸菌)を対象に上記の連続プロセスにより殺菌・不活化の評価を行った。ウイルスでは,2.5Lの溶液に対して180分の装置駆動の結果,87%の不活化を確認した。一方,大腸菌に対する効果は,180分後には56%の殺菌が確認された。以上,物理的なパルスパワーの印加による薬剤を用いない殺菌方法を実現できた。ウイルスのパルスパワーの影響について,分子生物学的に分析した結果は衝撃波によるウイルスのコートタンパクの破壊が顕著であることが判明した。
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