2012 Fiscal Year Annual Research Report
有袋類ハイイロジネズミオポッサムの未成熟期上皮組織修復能の解析
Project/Area Number |
22657018
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
猪原 節之介 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (90101295)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / ハイイロジネズミオポッサム / 表皮 / 創閉鎖 / ケラチン |
Research Abstract |
ハイイロジネズミオポッサム(以下オポッサムと呼ぶ)生後1日目新生児の背部皮膚に長さ1mmの切創を施し,創傷治癒過程を形態学的に解析した。正中線を挟んで1対の切創を施した個体は,経時的に採皮してパラフィン切片を作製し,マッソン・トリクローム(MT)染色と抗ケラチン14(K 14)抗体染色を行った。 本研究で施した切創は,MT染色の結果から,傷つけ後6時間では傷つけ直後よりも創部が拡張したが,傷つけ後12時間では創縁両端の表皮が創部中央へ近づいて創部は縮小し,傷つけ後24時間前後で創閉鎖が完了した。 K 14ケラチンは,正常皮膚では未分化な基底層でのみ発現することが知られている。オポッサム生後1日目新生児皮膚の創閉鎖過程において,正常時や傷つけ後12時間までは表皮の基底層1層でのみ発現したK 14が,傷つけ後24時間の創部と創周囲では表皮全有核層において発現がみられた。K 14の発現領域の拡大は創閉鎖完了後の傷つけ後48時間でも観察され,傷つけ後72時間では正常時の発現パターンへの回復がみられた。 オポッサム生後1日目新生児皮膚の創閉鎖過程における,上述の表皮の形態変化およびK 14発現パターンの変化は,生後1日目新生児ラットの創傷治癒過程とよく似た結果となった。すなわち,筆者自身による先行研究により,ラットでは胎生16日から18日の間に創傷治癒様式が胎仔型から成体型に転換することが明らかにされている(S. Ihara et al. 1990, 1992)が,形態変化とK 14発現の様相の時間経過という二つの指標でみる限り,オポッサム生後1日新生児の創閉鎖様式は,成体型の様式に類することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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