2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22657045
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 茂 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (50311303)
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Keywords | 癌浸潤 / 癌幹細胞 / マクロファージ / 乳癌細胞 / 細胞間融合 / Arf6 / GEP100 / AMAP1 |
Research Abstract |
本研究は、Arf6を中心とした癌浸潤・転移に特化した分子装置が癌細胞と骨髄由来細胞との細胞間融合による浸潤・転移形質獲得に関与するか否かについて検討し、その分子機序の解明を目的とする。当該研究期間において、骨髄由来細胞と癌細胞との細胞間融合におけるGEP100-Arf6-AMAP1経路の関与の可能性を検討した。マクロファージ細胞RAW264.7をRANKL刺激することにより誘導される同種細胞間融合系、及び、乳癌細胞MDA-MB-231を培養することにより誘導される同種細胞間融合系において、Arf6、GEP100遺伝子を抑制した場合、顕著に抑制された。一方、AMAP1遺伝子を抑制することによる影響は見られなかった。また、MDA-MB-231細胞の同種細胞間融合によって癌幹細胞のマーカーであるCD44陽性細胞の割合が増加する傾向が見られた。これらのことから、骨髄由来細胞と癌細胞の同種細胞間融合において、Arf6及び、GEP100が必須であること、一方、細胞間融合におけるArf6のエフェクターがAMAP1ではないことが示唆された。また、細胞間融合を介した癌幹細胞様の形質獲得にArf6、GEP100が関与する可能性が示唆された。RANKL刺激によって誘導されるRAW264.7細胞の同種間融合は、破骨細胞形成のモデルとしても知られており、GEP100-Arf6-AMAP1経路が慢性炎症などに見られる過剰な破骨細胞形成を抑制する新規分子標的としての可能性が想定される。骨髄由来細胞と癌細胞との異種細胞間融合について、乳癌モデルマウスから採取した細胞を用いた培養系やin vivoでの検討を進めた。マクロファージの同種細胞間融合は観察されるが、癌細胞との異種細胞間融合は検出されなかった。今後、癌幹細胞をenrichするなど細胞融合性の高い細胞群の同定と機能解析が必要である。
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