2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアプラスミドの父性遺伝性を制御する核因子の探索
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22658002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
半田 裕一 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20343957)
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Keywords | ミトコンドリア / ナタネ / プラスミド / 父性遺伝性 |
Research Abstract |
高等植物のオルガネラゲノムは、一般に母性遺伝性を示すことが知られており、ナタネを含むBrassica属植物においても、ミトコンドリアゲノムは母性遺伝することが示されている。しかし、ナタネミトコンドリア中に存在する11.6kbの線状プラスミドは、ミトコンドリアゲノムが厳格な母性遺伝を行う場合であっても、花粉親から次代へ伝達されるというきわめて特異的な性質を持っている。本課題においては、その現象の機構解明を目指して、プラスミドの遺伝性(伝達性及び維持安定性)を制御する核遺伝子群の探索のために、プラスミドの遺伝性を制御するQTL解析を行う。 本年度は、昨年度に引き続いて、プラスミド伝達率78.8%のナタネ品種「農林16号」と、伝達率が27.5%の品種「Westar」の交雑に由来するF2集団102個体を供試して、連鎖地図の精細化とプラスミドの父性伝達に関するQTL解析を行った。175個のマーカーにより22の連鎖群が得られ、それぞれナタネの19本の染色体に関連づけられた。遺伝子地図は1374.7cMをカバーし、マーカー間平均距離は7.9cMを示した。解析の結果、A5、C2、C9染色体に1つずつQTLが存在することが明らかとなり、それぞれqPpt1、qPpt2、qPpt3と名付けた。それぞれのLOD値は4.97、3.45、3.35であり、寄与率は25.0%、22.2%、37.1%を示した。また、3つのQTL間に明らかなエピスタシスはみられなかった。これらの結果は、ミトコンドリアプラスミドの父性遺伝は独立した比較的少数の核遺伝子により制御されていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、プラスミドの遺伝性を制御する遺伝子群の単離に向けて、プラスミドの遺伝性に関するQTL解析を行い、関与するQTL遺伝子座を明らかにすることを目的としており、2年目までにQTL解析を終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに検出されたプラスミド伝達に関する3つのQTL領域のうち、比較的詳細なマップ情報が得られたA5染色体上に座乗するqPpt1について、シロイヌナズナやB.rapaの相同領域の塩基配列等を参考にして、QTL候補遺伝子の絞り込みを行うとともに、遺伝子単離に向けて、qPpt1を単因子として持つ系統作成のための交配等を行う。
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Research Products
(1 results)