2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22658051
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
森 茂太 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, チーム長 (60353885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 秋男 琉球大学, 理学部, 教授 (90126889)
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Keywords | 個体呼吸 / スケーリング / 重力 |
Research Abstract |
植物個体呼吸は生命維持や成長の「コスト」であり、生命科学の重要課題である。近年、「重力の生物影響」が注目されている。最近、植物に重力感知細胞が発見されたが、重力と代謝の研究は無い。本研究は、重力対抗体制の異なるツル、タケ、草本、樹木(マングローブを含む)等の個体呼吸を実生~大型植物で連続的に実測する。これらは重力対抗体制が異なる。個体呼吸の実測で重力対抗特性が植物コストを制御する重要要因であることを示す。重力対抗体制で異なる個体呼吸の制御要因を解明して、陸上植物全体の機能類型化を植物個体で行うことが目的である。 本課題では、実生から大木までの多様な樹木とともに、タケ、ヤシ、木生シダ、つる植物、着生植物等の多様な形態の植物個体全体を測定して比較した。その結果、それぞれの植物の形態に応じて個体重量と個体呼吸の関係は規定された。草本やつる植物では個体重量と呼吸の関係は直線性が高く重量比例に近かった。しかし、タケのようにやや大きくなるイネ科植物では1よりもやや0.9の傾きであった。また、ヤシ(ビンロウ)では傾きはほぼ0.75(3/4)であった。同じ個体重量間で個体呼吸を比較した場合、幅は10倍~20倍程度であり、両対数軸上で陸上植物界全体を見た場合にはMori et al(2010)が示した測定点の範囲にほぼすべてが収まった。ただく樹木の様に内部に呼吸活性の低い部分がないタケでは個体呼吸の値は樹木に比べて高い傾向があった。また、樹木ついては裸子植物と被子植物などの比較でも大きな差が見らえなかった。以上より、植物個体呼吸は一定の範囲に収まりつつも、各形態で傾き(Scaling Exponent)は1~0.75の範囲で変化していた。
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