Research Abstract |
超音波風速温度計から得られた気温が湿度の影響を受けることを利用して,.超音波風速計と細線T熱電対温度計を用いた潜熱フラックスの簡単な評価方法を提案し,その実現を試みるものである。昨年度の結果から,このシステムのコストダウンを図るためには,安価な高速サンプリングデータロガーの分解能に合わせて熱電対の出力を増幅するためのアンプ(熱電対アンプ)の開発が必要となった。当該年度は実用化を目標として,(1)使用する熱電対より応答性がよいこと,(2)屋外に設置された数十mの熱電対の出力を増幅するためノイズ対策を行うこと,(3)温度を知るための零点補償部分にノイズがないことを条件として,熱電対アンプを作成した。また,将来のモジュール化も視野に入れて小型化も考慮した。出来上がったアンプを利用して,つくばみらい市にある真瀬観測サイトと塩尻市にある岩垂原観測サイトにおいて,細線K熱電対温度計と組み合わせて屋外に取り付け,応答特性,ノイズの分離,零点補償部分の精度の検討を行った。これによって,10Hzのサンプリング間隔で,十分なS/N比を得られるかどうか検討したが,目標とした(1)と(3)は達成できたが,(2)に対しては外部ノイズの除去に対し十分な成果が得られなかった。 昨年度検証を行ったシステムの観測に加えて,既存の超音波風速温度計を用いて鉛直方向風速w,音仮温度Tsvを,細線K熱電と試作した熱電対アンプを用いて気温(T)を,熱電対入力ない高速サンプリングデータロガー(ES-8,TEAC社製,既存)を用いて,10Hzのサンプリング間隔でデータを取得した。これらの3つの方法で観測された蒸発散量を比較検討し,本研究課題で目的とした細線熱電対による蒸発散量計測の妥当性が検証された また,昨年度の観測結果同様,高湿度条件下におけるデータの妥当性は示されたが,低湿度で行った岩垂原観測サイトの実験では,上記の理由によりS/N比が十分に得られなかった。この達成が可能であれば熱電対アンプの小型モジュール化により,渦相関法による安価な蒸発散量測定技術として,他研究分野および一般への普及が可能となる.
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