2010 Fiscal Year Annual Research Report
ランダムペプチドライブラリーへの血中抗体反応性評価による免疫疾患発症予測法の開発
Project/Area Number |
22659057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高井 俊行 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (20187917)
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Keywords | マイクロアレイ / ランダムペプチド / 予防診断技術 / 自然抗体 / プロファイリング |
Research Abstract |
【研究内容】加齢による免疫機能の低下は主に胸腺の生理的萎縮によるT細胞の数・多様性・機能の低下という内的因子で説明されているが,個体が経験した外的な感染性の因子や自己組織への免疫応答の影響がある。しかしながら,外的および自己組織に対する免疫応答の履歴と生理的変化,即ち「免疫履歴」を簡便,客観的に評価する手段は乏しい上,免疫履歴を個体の免疫機能の評価や,疾患発症の予測とリンクさせた研究は乏しい。本研究では,免疫履歴を血中抗体の反応性を網羅的に把握することで簡便に評価する基盤技術を構築し,これを免疫疾患発症の予測に応用することを目的とする。実際には,血中抗体のランダムペプチドライブラリー(RPL)への反応性をマイクロアレー解析により定量化し,自己免疫疾患の発症前および発症過程でこのパラメーターがどのように変化するかを調査することを計画している。平成22年度はまず血中抗体の,あらゆるエピトープに対する網羅性を利用している既存の治療薬と我々が考えているγグロブリン製剤およびその大量投与として実際に炎症や自己免疫疾患に適用されているγグロブリン大量静注療法(IVIg)の有効性がどのような細胞および機能に対して発揮されているのかを評価する研究を行った。とりわけ我々が自己抗体のソースとして着目しているB1細胞に対して,その抗体産生能やサイトカイン産生能に対するIVIgの作用を検討した結果,マウスB1細胞のIL-10およびIgMさらにIgMタイプのリウマチ因子の産生に対してIVIgが抑制作用を有すること,これが細胞表面および細胞内の双方において限定されたシグナル伝達経路を抑制することによるものであることを見出した。【成果の重要性と意義】これら血中抗体の網羅的反応性が生理機能を有する例として自己抗体産生抑制機能,とくにB1細胞への抑制機能であることを示唆する知見として,今後のエピトームという概念の確立に向けて重要な成果である。
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Research Products
(9 results)