2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中の発症予測のための新しい眼底検査解析法の開発
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22659135
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Research Institution | Osaka Medical Center for Health Science and Promotion |
Principal Investigator |
北村 明彦 (財)大阪府保健医療財団 大阪府立健康科学センター, 健康開発部, 部長 (80450922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 良 (財)大阪府健康医療財団大阪府立健康科学センター, 健康開発部, 特別研究員 (70301067)
山岸 良匡 国立大学法人筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (20375504)
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Keywords | 穿通枝系梗塞 / 網膜血管径 / コホート内症例対照研究 |
Research Abstract |
本研究では、長期間、わが国の脳卒中の疫学研究を行っている住民コホートの過去数十年間に蓄積された眼底写真をもとに、眼底画像解析システムを用いて網膜血管径の諸指標を定量化する。そして、網膜血管径と穿通枝(ラクナ)脳梗塞の発症との関連をコホート内症例対照研究により検討し、本法が脳卒中の発症予測の精度を高める医療技術として有用であることを検証する。 平成23年度は、前年度の検討から穿通枝系梗塞との有意の関連が認められた網膜中心動脈径と動静脈比に関連する因子について、症例と対照を合わせた対象で検討した。その結果、両指標ともに年齢との関連は有意ではなく、最大血圧値ならびに最小血圧値、および降圧剤服用との間に有意の負の相関が認められた。すなわち、血圧値が高いほど網膜中心動脈径と動静脈比は低値であり、また、降圧剤服者の方が両指標とも低値であった。すなわち、穿通枝系梗塞の発症予測因子の可能性がある網膜中心動脈径と動静脈比は、加齢による影響よりも高血圧による影響を強く受けることが判明した。降圧剤服用が網膜中心動脈径と動静脈比の低値と有意の関連を示した理由は、降圧剤を服用することが網膜細動脈硬化を進行させるのではなく、降圧剤服用者においては、服用開始までの高血圧の持続的影響により既に網膜細動脈硬化が進行している者が多いためと考えられる。 今回の検討で得られた知見の普遍性を確認するために、一般住民を対象として、網膜中心動脈径と動静脈比に関連する因子を検討することを目的として、大阪の地域住民で2003年に健診を受診した50~79歳1196人の眼底画像をデジタル化して抽出を行い、眼底画像解析システムでの定量化を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般住民の眼底画像のデジタル化は完了したが、眼底画像解析システムでの定量化が遅れている。また、研究組織の改編の影響を受け、解析のための十分な時間がとれなかったため、成果の公表に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる今年度は、穿通枝(ラクナ)脳梗塞のコホート内症例対照研究のデータセット、および一般住民の定量化を完成させた後のデータセットを用いて解析を行い、網膜血管の諸指標と穿通枝系梗塞の発症との関連および関連因子をより明確にし、研究の総括を行なう。また、学会発表や論文等を作成するとともに、ホームページ等を利用して、国民向けに研究成果の概要を作成し紹介する。
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