2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳ー腸相関を利用したストレスの軽減・耐性強化に資する簡易健康法の開発
Project/Area Number |
22659386
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 重行 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 教授 (20111817)
|
Keywords | ストレス / 脳-腸相関 / 健康法 |
Research Abstract |
最終年度に実施した研究の成果: 1、腹式呼吸の消化管活動に及ぼす影響を胃腸電図から検討した結果、呼吸中および呼吸後に上行結腸と下行結腸の活動に有意な増加が認められた。また、呼吸後に副交感神経活動が亢進した。実験終了後の被験者の感想では、「腸が動く音が聞こえた」、「気分がすっきりした」、「リラックスできた」などが多く聞かれ、消化管の活動性やリラックス感の増加する傾向が認められた。 2、左右の足裏マッサージを足底のツボに沿って各10分間行った結果、胃・小腸・上行結腸・下行結腸の活動に有意な増加が認められた。副交感神経活動が抑制され、示指皮膚温が低下したことから交感神経優位の状態がもたらされたと考えられたが、一方で心拍数の低下と左右の前頭葉脳血流量増加が認められた。マッサージ後の気分調査では、足底、下肢全体、全身の快適感が高く、活気も有意に高かった。 3、ハッカ油を混ぜた湯に浸し絞ったタオルで腹部を温湿布するメンタ湿布の脳-腸相関に及ぼす影響を検討した結果、湿布により上行結腸と下行結腸の活動に有意な増加が認められた。また、上行結腸の活動度と右前頭葉脳血流量との間に有意な正相関が認められ、上行結腸の活動が脳を活性化して脳血流量が増加することが示唆された。腹部皮膚温のみならず前腕部皮膚温も有意に上昇し、ハッカ油に含有されるメントールの局所血管拡張作用が認められた。腹部清涼感も強く感じていた。 研究期間全体の研究の成果: 双方向性の「脳-腸」軸からなる脳-腸相関を利用してストレスを軽減し、耐性強化することを目的に、腸と脳の状態を整えることに焦点を当てた簡易健康法の開発を試みた。その結果、口腔リラックス法、腹式呼吸、足裏マッサージ、ハッカ油を混ぜた湯に浸して絞ったタオルで腹部を温湿布するメンタ湿布、腹部マッサージと腹巻きの併用、などが消化管運動を活性化させ、リラックス感をもたらし、簡易健康法として有効であることが明らかとなった。
|