2010 Fiscal Year Annual Research Report
難病患者の健康と安寧の推進を目的とした音楽を活用した心身のリハビリテーションケア
Project/Area Number |
22659401
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
猪股 千代子 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (90381326)
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Keywords | 統合医療 / 補完代替療法 / 神経難病 / QOL / ホリスティックヘルス / ヘルスケアシステム |
Research Abstract |
「研究目的」保健医療職・音楽療法士(以下、多職種協同チーム)による、神経難病患者のQOLを高める「健康と安寧の推進を目的とした音楽を活用した心身のリハビリテーションケア(以下、ハマナスの会)」のプログラム開発と実践を「多職種協同健康増進プログラム開発モデルによるヘルスケアサポート実践(以下、プログラム)」として紹介し、参加者にとっての効果とプログラムの意義を考察する。 「研究方法」1.実践法:看護師などの保健医療職は、患者のヘルスケアマネジメントを目的とした、血圧・脈拍測定、問診などによる症状アセスメントとQOL調査や健康相談を行い、情報を音楽療法士へ提供しケア目標を共有。音楽療法士は、患者のニーズと症状に合わせたプログラム設計とセッションを実施。多職種協同チームで、セッション参加者の行動をカンファレンスで評価し、プログラム設計にフィードバックした。2.研究方法:対象はプログラムに参加したパーキンソン病と脊髄小脳変性症等の神経難病患者、約20名。期間は平成20年4月から平成22年11月。調査方法は、参加患者の血圧、脈拍、フェイススケール、オリジナル健康調査、HAD、PDQ-39、問診内容を分析した。分析方法は、血圧、脈拍、フェイススケール、オリジナル健康調査、HAD、PDQ-39はMicrosoft Office Excel 2007を用い統計学的に解析した。問診内容は定性的に分析した。3.大学倫理委員会の承認を得倫理的配慮を行って実施した。 「結果および考察」1.ハマナスの会は、年間10回実施し、延べ20回実施した。開催日ごとのミーティングとプログラム運営会議は延べ6回開催、参加者と市民に対する成果報告会は2回開催した。 2.延べ20回のハマナスの会への参加者数は延べ220人であり、各プログラム開催日の参加者は平均10人が参加。参加者の平均年齢は約65歳であった。オリジナル健康調査結果では心理的健康と社会的健康の項目で改善が認められた。PDQ-39では、一部のカテゴリーに改善がみられた。HADは抑うつ得点に改善がみられた。参加者からは「関係性の再構築」「意識の拡張」などの語りが認められた。プログラム実践の場・ハマナスの会は、関係性の深まりが「おもいやる・信じる・楽しむ・つながる」ケアリング環境を整え、ヒーリングの場の生成に繋がったと考えられた。
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