2010 Fiscal Year Annual Research Report
非がん患者・家族の在宅緩和ケアにおける看護実践のベストプラクティスとその効果検証
Project/Area Number |
22659429
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
長江 弘子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 特任教授 (10265770)
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Keywords | 非がん患者 / 在宅緩和ケア / 非がん患者家族の不安 / 患者の主体性 / 自立支援 |
Research Abstract |
本年度は、非がん患者・家族の在宅緩和ケアにおける看護実践を明確化するための基礎資料を収集することを目的に実施した。研究方法は、非がん患者・家族の在宅緩和ケアに関する文献検討とフィールド調査である。 1)統合的文献レビューの方法(Cooper,1994)を用いて検討した。DataベースはPubMedを用いて2000年から現在までの10年間で検索した。現段階では文献数は少なく28件であった。分析の結果、非がん患者の緩和ケアにおける看護師の実践の焦点は「病状管理」「疼痛管理」を基本にしながら、「患者の主体性を育てる」「患者の意向に沿う」のため「アセスメント、モニタリング、教育、指導を繰り返す」「関わるチームで共有する」介入をし、十分な現状把握から患者・家族の生活を継続する上で必要な知識・技術の向上を図る自立支援であったことが概念化された。 2)フィールド調査は文献レビューの結果を踏まえて、非がん患者の緩和ケアに先駆的に取り組んでいる英国研修を実施した。英国では、NHSの指導のもとチームでケースの方針を共有する非がん患者のガイドラインやケアパスウェイが開発されていた。また看護師はより複雑なケースに関わり、家族の不安、経済的な問題に応じたサービスの調整など、チームのリーダとなっていた。現場の看護師教育は看護師の自律的な判断能力を育成することを目指し、現実の事例を振り返り、他者との意見交換を通して学ぶグループワーク方式が採用されていた。以上より、看護実践の質は現場で実践を重視した教育を実施していること、多職種チームの質は知識共有の基盤があることの重要性が示された。 次年度はケーススタディ法と看護実践の効果測定に関する調査を実施する。それにより、より日本の実情に合った、しかも現実の看護実践に即したPractice Based Evidenceを見出すことができると考える。
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