2011 Fiscal Year Annual Research Report
訪問看護・在宅ケアサービスにおける包括的危機管理体制の構築
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22659433
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
牧野 裕子 大阪府立大学, 看護学部, 准教授 (30290365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 香奈子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (00364050)
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Keywords | 在宅ケア / 訪問看護 / 危機管理 / 包括的サービス / システム構築 / ネットワーク / 情報管理 / 情報共有 |
Research Abstract |
◆岩手県陸前高田市被災直後の高齢者施設の運営状況 7月末から8,月にかけて岩手県陸前高田市へ出向き、ボランティア活動を通して現地の状況把握を行った。被災地の小規模多機能施設施設長および、老人保健施設看護部長から、被災後1か月間の施設の運営状況を聴取することができた。課題として、大規模災害時に求める支援や、利用者の安否情報等を発信する手段の確保、最低限必要な資源の確保、日常的な訓練実施などが挙げられた。研究計画当初は、近隣の訪問および通所施設問での連携を考えていたが、地域の老健や特養などの入所施設との連携が不可欠であることが明らかとなった。併せて、サービス利用者個人の備えの重要性が明らかとなった。 ◆在宅療養者の備えの状況 大阪府下の居宅介護支援事業所4施設について、各施設の利用者全員を対象に、大規模災害を含めた緊急時の備えの状況についてアンケート調査を行った。回収率は80%であった。服薬管理中の者のうち内服薬の備えがある者は約3割(平均2.9(±3.3)日分)、吸引や経管栄養などの処置が必要なものにおいて、処置に必要な物品を備えている者も同様に、約3割(平均2.6(±3.1)日分)であった。また、移動に援助を要する者のうち、避難時の援助者がない者が6割以上を占めていた。これらの結果から、日常的な緊急時にむけた備えの必要性の意識付けと、備えの内容充実の必要性が明らかとなった。 以上のことから、在宅ケアサービスにおける危機管理体制構築には、地域ネットワークづくりとあわせ、個人の備えを充実させる働きかけが重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の発生により、急遽予定変更をした点があるが、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
◆4~8月:施設運営困難時の支援事例のアセスメント 感染症蔓延時および、3月11日の震災に関連した施設運営困難時期における、ケア優先度の高いケースに対する支援事例を収集し、対応上の工夫についてアセスメントを行う。特に、以下の点について、抽出したいと考える。 (1)優先して関わりが必要なケースの抽出と、(2)優先度が高いと判断する理由、(3)具体的な支援の実際 ◆9月~12月:緊急時地域サポートネットワークモデルの提案 近畿圏の訪問看護ステーション所長、主任ケアマネ、高齢者ケア施設長らによるグループディスカッションを設け、緊急事態発生により在宅ケアサービス機関が単独で業務を行うことが困難な状況となった場合の対応策について、地域単位でのサポートネットワークの構築のモデルの提案を行う。同時に、普及のために必要な基盤づくり、課題について明らかとし、推進にむけた働きかけについて提案を行う。 ◆12月~3月:研究まとめ・報告:以上の事柄を踏まえ、報告書作成を行う。
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