2010 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の中枢系嗅覚順応を担う神経回路機能の解明と匂い情報の処理過程の可視化
Project/Area Number |
22680028
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
広津 崇亮 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (70404035)
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Keywords | 嗅覚 / 線虫 / Ras-MAPK経路 / イメージング / 神経可塑性 / GEF / 順応 / 嗅覚受容体 |
Research Abstract |
線虫の中枢系嗅覚順応について、本年度は以下のような成果を得ることができた。 ・網羅的RNAi法を用いた匂いシグナルのインプットの仕組みの解明 RNAi法を用いて、嗅覚レセプター遺伝子の網羅的機能阻害を行い、機能阻害株の匂い物質へ化学走性を調べるスクリーニングを4次まで終了した。これまでに得られた候補遺伝子に加え、srx-47が高濃度ジアセチルの受容に関与している可能性が明らかとなった。さらに、得られた候補遺伝子について、網羅的に発現解析プラスミドの作製を行った。 ・in vivoライブイメージングによるRas-MAPK経路の活性の時空間的制御 本年度は嗅覚神経におけるRasの活性化、不活性化メカニズムについて詳細な解析を行った。まずRasの活性化因子GEFに注目した解析を行い、嗅覚神経ではRas-GRPであるRGEF-1が機能していることを明らかにした。陰門形成など、これまでにRasが関与することがわかっていた細胞では、Ras活性化因子としてSOS-1が使われていることが多い。このことから、嗅覚神経でのRasの素早い活性化は、GEFの種類を使い分けることによって行われている可能性が考えられる。さらに、Rasは数秒で活性化したのち、匂い刺激が持続していても数秒で不活性化することがわかった。Rasの下流にあるMAPKの変異体では、Rasの活性化が有意に持続することから、Rasの素早い不活性化には下流からのネガティブフィードバック機構が重要な働きをしていることが示唆された。 ・中枢系順応に関わる新規分子の探索および機能の解析 フェロモンシグナルによって発現が制御される神経ペプチドSNET-1と、その分解に関わるネプリライシンが中枢系順応に必須の働きをすることを突き止め、学術誌に報告した。
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Research Products
(10 results)