2011 Fiscal Year Annual Research Report
位置有感型ガス検出器を用いた加速器中性子捕捉療法用2次元ビームモニタの開発
Project/Area Number |
22680044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 浩基 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (70391274)
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Keywords | 中性子捕捉療法 / 加速器中性子源 / 二次元モニタ / ガス検出器 / 線量評価 |
Research Abstract |
中性子捕捉療法におけるサイクロトロンを用いた加速器中性子源は、これまで臨床試験に用いてきた原子炉中性子源と比較して、治療ビーム中に高エネルギー中性子成分が混入するため、高速中性子を考慮した治療ビームの二次元線量分布評価を行うことが急務となっている。そこで本研究では熱および速中性子領域に感度を有する位置有感型ガス検出器を用いたリアルタイム中性子束モニタを開発することを目的としている。本年度は(1)高強度熱中性子ビームによるシステムの特性試験と(2)高エネルギー検出部の追加したシステムの構築を実施した。 (1)計数率特性を評価するために、KURの重水中性子照射設備で高強度熱中性子ビームを照射した。10^8~10^9(n/cm2/s)の熱中性子が入射するため、熱中性子コンバータは天然ホウ素をアルミドリフトプレートに蒸着したものを作成して、システムに組み込んだ。線源からの距離を変化させることで線量率特性を取得することができた。 (2)高エネルギー検出部を追加するために、XY情報取得読み出し平面を挟んで2つのアノード読み出し面と、熱中性子及び高エネルギー中性子コンバータを塗布したドリフトプレートを設置した。XY情報取得読み出し面は共通して使用可能であるため電子回路のチャンネル数を減らすことができる構造とした。アノード面でのイベントは二次元分布のイベントとコインシデンスを取得することにより高エネルギー側または熱中性子側で起きたイベントを区別することができる。高エネルギー中性子コンバータはしきい反応を有するアルミニウム(27Al(n,α)24Na:しきいエネルギー7.2MeV、27Al(n,p)27Mg:しきいエネルギー4.4MeV)を選択し、システムに組み込むことで高エネルギー中性子を検出可能なシステムを構築することができた。 次年度はサイクロトロン加速器を用いて本システムの照射試験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H22年度は位置有感型ガス検出器を用いたリアルタイム中性子束モニタのシステム構築が順調に進んだ。特性試験も予定していた計画通り遂行でき、期待していた性能を実現できた。H23年度の研究実施計画のうち高強度熱中性子ビーム試験と高エネルギー中性子検出部を本システムに組み込むことに成功し、予定通りリアルタイム中性子束モニタの開発が進んでいるため本研究の課題は順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更は特にない。H24年度は本研究の最終目的である、サイクロトロン加速器中性子源を用いて本システムの特性試験を実施する。従来実施してきた手法と比較することで、本システムの有効性の確認を行う予定である。
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