2011 Fiscal Year Annual Research Report
PGD2産生制御による病態治療と組織再生方法の確立
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22688024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 幸久 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (40422365)
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Keywords | プロスタグランジン / 炎症 / 組織再生 |
Research Abstract |
本研究提案では、“血管透過性抑制因子PGD2の産生制御を炎症病態の治療と損傷組織における血管再生に応用すること”を目的とする。平成23年度は、以下の3項目について明らかにした。 1. PGD2産生制御機構の解明: 膜たんぱく質であるCav-1のscaffoldingドメインがPGD2合成酵素(H-PGDS)に結合することで、その活性を調節していると仮説立てた。この仮説をプルダウンアッセイ法を用いて、これらのタンパク質間結合を証明した。 2. PGD2検出方法の確立: 肺癌の増殖に伴い、モデルマウスの尿中に排泄されるPGD2代謝産物の量が増加することを発見した。 3. 慢性炎症病態への治療応用: DP受容体作動薬の連続投与が、移植癌の増殖や肺の炎症を抑制することを明らかにした。骨髄細胞特異的な遺伝子欠損マウスを作成してもちいることで、これらの治療効果が血管内皮細胞のDP受容体活性が必須であることを明らかにした。 4. 血管再生方法の確立: PGD2の産生阻害が、血管新生を促進するメカニズムの解明を目的に実験を行った。遺伝子発現解析の結果、虚血状態に陥った組織において、PGD2産生阻害は血管新生促進因子やサイトカインの発現を上昇させることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は “血管透過性抑制因子PGD2の産生制御を炎症病態の治療と損傷組織における血管再生に応用すること”を目的とする。平成23年度は、1)PGD2産生制御機構の解明、2)PGD2検出方法の確立、3)慢性炎症病態への治療応用、4)血管再生方法の確立、の4項目について検討する予定であった。研究実施途中において、予定していた遺伝子欠損マウスの作成と繁殖が遅れたため、実験計画に遅延が生じた。しかし、現在までにマウスの作成は成功し、当初予定していたほぼすべての実験項目を完了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目標達成にむけ、今後(最終年度)以下の4項目について検討を終える。 ①PGD2産生制御機構の解明: 膜融合タンパクとCav-1の機能制御ドメインを融合させた蛋白質の投与が、 in vitroとin vivoの両レベルでPGD2の産生量を抑えることができるか検討を行う。 ②PGD2検出方法の確立: 腫瘍においてPGD2代謝産物が病態マーカーとして応用可能であることを明らかにして報告した。最終年度は肺炎や肺線維症モデルなどの他の病態においての検証を進める。 ③慢性炎症病態への治療応用: 肺炎や肺線維症に対して、PGD2受容体刺激が組織の血管透過性を抑制し、症状を緩和することを明らかにしている。これをまとめ報告するとともに発がんモデルについて検討を進める。 ④血管再生方法の確立: 損傷や虚血に陥った組織において、血管透過性から血管新生へと繋がる分子機構として血管新生促進因子やサイトカインの発現上昇が関与しているという知見を得た。今後これらの因子の産生上昇機構を明らかにする。またこれまでの結果をまとめ報告する。
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