2010 Fiscal Year Annual Research Report
乳児期発症の年齢依存性てんかん性脳症における責任遺伝子の単離
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22689011
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
才津 浩智 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40402838)
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Keywords | ゲノム / 年齢依存性てんかん性脳症 / 乳児 / 大田原症候群 / West症候群 / STXBP1 / SPTAN1 |
Research Abstract |
平成22年度の研究で、マイクロアレイによる染色体構造異常のスクリーニングを50症例で行い、病的と考えられる染色体の構造異常を5名に同定した。染色体構造領域に位置する候補遺伝子に関する変異解析も行い、ある遺伝子でスプライシング部位の変異を認めた。この変異についてご両親検体を依頼し、de novo確認を急いでいる。また、大田原症候群(ElEE)患者62名、West症候群患者75名において、STXBP1の変異解析を行い、ElEE患者17名において、15種類の遺伝子変異を同定した。また、West症候群患者2名においてもSTXBP1変異を認めた。このことから、日本人におけるSTXBP1変異の表現型は、おもに大田原症候群(実に約27%に変異があり)であるが、West症候群を呈する症例も少数ではあるが存在することが明らかになった。また、1例において父親がモザイクで変異を有していることを同定し、STXBP1遺伝子変異の初のモザイク症例として報告した。また、STXBP1遺伝子に対するカスタムアレイを作製し、脳奇形の見られないElEE患者28名を検査したところ、2名においてSTXBP1の欠失を認めた。1例はSTXBP1遺伝子を含む2.8Mbの欠失であったが、もう1例はエキソン4のみを含んだわずか4.6kbの欠失であった。これらの結果から、1エキソンレベルでのSTXBP1欠失の検査が、遺伝子検査として推奨されることが明らかとなった。また、髄鞘化遅延と脳の広範な形成不全を伴うWest症候群症例2例において、SPTAN1遺伝子のde novoのin-frame変異を同定した。初代培養神経細胞での一過性発現系および患者由来のリンパ芽球内において、α-ll/β-llおよびβ-lll spectrin heterodimerが凝集していることが観察され、変異がdominant negative効果を持つことが示唆された(Saitsu et al., Am J Hum Genet 2010)。
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Research Products
(6 results)