2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 健洋 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (40431548)
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Keywords | アルゴリズム / 近似困難性 / 遷移可能性問題 / ナップザック問題 / 部分集合和問題 |
Research Abstract |
計算機科学の最も基礎的な問題の1つであるナップザック問題に対し,その遷移可能性問題を近似の観点から研究した.特に,部分集合和問題と呼ばれるナップザック問題の特殊なケースに対する遷移可能性問題については,多項式時間近似スキーム(PTAS)と呼ばれる近似アルゴリズムを与えた.これら研究成果を取りまとめ,詳細な証明とともに海外の学術雑誌に投稿することができた. より具体的には,以下の研究成果を論文にまとめ,投稿した.まず,部分集合和問題に対する遷移可能性問題が強NP困難であり,擬多項式時間でさえ解けそうにない事を示した.また,同時にナップザックに入れることができないアイテム対の集合が与えられたとき,この問題はPSPACE完全であり,またAPX困難であることを示した.これにより,このような一般化された問題では,多項式時間近似スキームを与えることが難しいことが示された.これらの計算困難性および近似困難性の結果は,ナップザック問題の遷移可能性問題に対しても全て成立する.一方で,部分集合和問題の遷移可能性問題に対しては多項式時間近似スキームを開発した.多項式時間近似スキームは,アルゴリズムの使用者が近似解の精度を任意に指定することができる.また,この問題は強NP困難であることから,多項式時間近似スキームは近似精度の観点から最良の近似アルゴリズムといえる.様々な遷移可能性問題が今までに研究されているが,多項式時間近似スキームを与えたのは本研究が初めてである.
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