2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22700001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 健洋 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (40431548)
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Keywords | アルゴリズム / 近似困難性 / 遷移可能性問題 / ナップザック問題 / 部分集合和問題 / グラフ分割問題 / リスト辺彩色 |
Research Abstract |
平成23年度は,主に「需要と供給のグラフ分割の遷移可能性問題」に対し,近似の観点から研究を行った.この遷移可能性問題の基となる「需要と供給のグラフ分割問題」は,計算機科学における最も基礎的な問題である部分集合和問題にグラフ構造(電力網の構造)を導入した問題である.本研究では,今までに,その部分集合和問題の遷移可能性問題に対して,PTASと呼ばれる近似アルゴリズムを与えている.そこで得られた近似アルゴリズムの開発手法を一般化することで,本年度は,需要と供給のグラフ分割の遷移可能性問題に対してもPTASの概略を与えることができた. より具体的には,次の研究成果を与えている.まず,この問題の計算困難性を,従来よりもタイトに解析することができた.すなわち,グラフにたった2個の供給点しかなく,さらにその供給量に制約があったとしても,需要と供給のグラフ分割の遷移可能性問題はNP困難であることを示した.したがって,このような限定された場合に対しても,この問題は効率よく(多項式時間で)解くことが難しいといえる.そこで,本研究では近似アプローチを取り,PTASの概略を与えた.過去の研究によって2倍近似アルゴリズムは知られていたが,PTASは近似解の精度を任意に指定できるという点で優れている. また近年,グラフ彩色に関する遷移可能性問題が盛んに研究されている.本研究でも,リスト辺彩色の遷移可能性問題に対してアルゴリズムを開発した.この成果は,従来知られていた結果を改善しており,国際会議で発表および学術雑誌へ掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに,近似アルゴリズムの開発ができている.しかし,平成23年度では,PTASの概略を与えただけであり,これから詳細な解析および証明が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
供給点が2個しかないグラフに対してはPTASの概略を与えることができたが,供給点が3個以上のグラフに対しても近似可能性(もしくは近似困難性)を明らかにする.また近年,グラフ彩色の遷移可能性問題に関する研究が盛んであり,本研究でもアルゴリズム手法の開発の一環として,積極的に取り入れていきたい.
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