2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700277
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山崎 由美子 慶應義塾大学, 社会学研究科, 准教授 (20399447)
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Keywords | 般化 / 推論・問題解決 / 比較認知神経科学 |
Research Abstract |
本研究は、獲得したルールを新しい事例に適用する「応用」の基礎課程としての「再結合般化」という現象について実験的検証を行うことを目的としている。再結合般化は、異なる次元軸をまたいで生じる般化(転移)であり、言語の初歩的機能の応用のために重要であることが知られている。コモンマーモセットを対象とし、ヒトでは検出の難しい段階的な転移過程を詳細に分析し、転移の要件、及び転移に基づいた新たな学習の可能性を検証し、再結合般化の背後にあるメカニズムを明らかにする。 本年度は、マーモセットにおいてタッチモニタを用いた装置への反応を形成させ、逆転学習のプロトコルの確立を行った。装置への馴化後、被験体がモニタ上の視覚刺激に対して接触反応を行うようにシェイビングが行われた。その後、試行のスタート反応を行うと、円あるいは四角形で大きさの異なる2つの刺激が同時に提示され、一方の刺激への反応が強化され、もう一方への反応は強化されないという手続きで、正答率が90%以上となるまで訓練された。この基準を満たすと、次のセッションから正解となる刺激が逆転し、再び基準を満たすまで訓練が行われた。この逆転を繰り返すうちに、被験体は視覚刺激の大きさに注意を払うことが期待された。テストでは、訓練で未使用の大きさの刺激対が提示され、反応が訓練刺激の特定の大きさに制御されていたか、あるいは刺激対の相対的な大きさ(より大きい、より小さい)に制御されていたかが調べられた。その結果、被験体は相対的な大きさに従って反応していたことが示された。これにより、適切な訓練を行うことにより、コモンマーモセットは訓練で獲得された刺激の絶対的刺激次元のみならず、刺激の組み合わせに依存した特徴を抽出することが可能であることが照明された。これにより、刺激から構成要素を抽出させる再結合般化の検証にこの動物種を使用する妥当性が示されたと言える。
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Research Products
(6 results)