2011 Fiscal Year Annual Research Report
循環血液量および運動中1回心拍出量の新たな測定法の開発(近赤外線法)
Project/Area Number |
22700547
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 倫之 和歌山県立医科大学, みらい医療推進センター, 講師 (90305566)
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Keywords | 血液量 / 心拍出量 / 近赤外線 / ICG |
Research Abstract |
H23年度は、インドシアニングリーン(以下ICG)で近赤外線法を用いて、1)運動中の1回心拍出量が測定できるのかを検討した。また最大1回心拍出量に影響を与える循環血液量を同方法で測定し、従来用いられている2)エバンスブルーによる色素希釈法での循環血液量測定法との比較検討を行った。 1)運動中の心拍出量測定(安静時の心拍出量測定追加研究) H22年度では、心拍出量を確実に測定するためにインドシアニングリーンを従来計画していた0.2~0.4mlより0/8ml注入する方が希釈曲線がきれいに描出されることが分かったが、そこから心拍出量の算出に至らなかった。今年度同方法で心拍出量の測定を安静時と運動時に行った。安静時は、測定されるICGの濃度が高く測定される個人と低く測定される個人が見られ、その値にかなり大きな差が見られた。高めに測定された群で算出された心拍出量は3.9±0.1L/分で低めの群が0.2±0.0L/分と高めの群の方が実際の値に近いもののimpedance法で測定された心拍出量5.6±0.4L/分と比較して低い傾向であった。その理由は不明確であるが、近赤外線の組織到達度に個人差があり、その補正方法が確立されていないことによると思われる。今後調整方法の再検討が必要である。また、運動中のICGを用いた近赤外線法による心拍出量測定は、運動中は肝血流が低下するため、ICGが代謝されず、ICGの希釈曲線と代謝曲線の境界が不明瞭となり、心拍出量の測定が困難であった。 2)ICGを用いた近赤外線法による循環血液量の測定は1)と同じく、濃度の測定結果が2群に分かれるためその値も大きく異なった。循環血液量は濃度が低い群が7.9±0.3Lと濃度が高い群より実際の値に近いもののエバンスブルーで測定した循環血液量は、4.8±0.2Lであり、その値にも大きく開きがあった。今後まず近赤外線によるICGの濃度測定を補正等して正確に行えるかどうか検討が必要である。
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