2011 Fiscal Year Annual Research Report
運動器不活動に伴う慢性痛の病態責任解明に基づく新しい理学療法戦略
Project/Area Number |
22700559
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
大道 裕介 愛知医科大学, 医学部, 助教 (50506673)
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Keywords | 慢性痛 / 可塑性 / 脊髄 / グリア / 動物モデル |
Research Abstract |
本研究は、後肢不動化後に誘発される広範囲機械痛覚増強(足底、下腿皮膚・筋、尾)の出現および維持に関わる神経可塑性機序の一つとして、脊髄グリア細胞の動態に注目し、そのトリガーとして不動化後肢における酸化ストレスに着目している。本実験モデルにおける広範囲機械痛覚増強の出現におけるミクログリア活性化の関与を明らかにするため、ミクログリア抑制剤のminocycline(100μg、200μg/day、i.t.)をギプス固定8日目から除去後1日目までの計8日間連続投与した。投与後、足底部、下腿皮膚・筋の機械痛覚増強は、反対側のみ有意に改善し、ミクログリアの活性化(OX42免疫染色)がminocyclineの用量依存性に抑制されることが明らかとなりつつある。さらに,痛覚増強の極大期におけるアストロサイト活性化の関与を明らかにするため、アストロサイト抑制剤のL-α-aminoadipate(150nm/10μl,i.t.)をギプス除去後5週目に投与した。投与後,足底、下腿皮膚・筋の機械痛覚増強は両側性に一部減弱を認めた。一方、尾の痛覚増強の減弱は認められなかった。さらにギプス除去後24時間後のFree radical scavengerのTbmpol(100mg,250mg/kg,i.p.)の投与により、極大を示していたギプス除去後5週目のすべての部位の機械痛覚増強が抑制された。また同時期に出現していたアストロサイトの活性化(GFAP染色)は抑制された。以上により,ギプス固定肢に生じた酸化ストレスは本実験モデルにおける長期持続性の広範囲機械痛覚増強の発症において主要な役割を担い,この痛覚増強の広がりにミクログリアの活性化が関与し、維持にアストロサイトの活性化が一部関与している可能性が明らかとなりつつある。また、広範囲機械痛覚増強行動の維持に他の中枢機序の存在が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった痛覚増強抑制時の免疫組織学的検証がおおむね達成された。さらなる再現性の確認および詳細な検証を行い確実な結論を導き出す課題を遂行する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
途中経過であっても発見された新しい事象については適宜、学会発表(国際疼痛学会、日本疼痛学会、日本理学療法学術大会など)を行うことで計画実行の円滑化に努める。解剖学講座および学際的痛みセンター(兼任)における教授・講師陣からの助言、実験機器・助手などの人財を含めた資源を有効利用し,計画円滑な遂行、遅延の是正に勉める。研究チームとして月に2回のペースで研究カンファレンスにてデータのプログレスレポートと詳細な検討を行なっており、研究計画ついて常にフィードバックを行う。
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