2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22700622
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
倉持 梨恵子 中京大学, スポーツ科学部, 講師 (00386658)
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Keywords | 前十字靭帯 / 加圧トレーニング / 腱再生 / 靭帯再生 |
Research Abstract |
本研究は、加圧トレーニング(血流制限下での筋力トレーニング)が、筋力増大の効果だけではなく、靭帯・腱の治癒・再生を促進するかについて検証を行うことが目的である。加圧トレーニングは成長ホルモンの分泌促進により、従来の筋力トレーニングよりも軽負荷・短時間で筋力を増大させることができるとされている。スポーツ選手の靭帯・腱損傷に対するリハビリテーションでは、軽負荷の筋力トレーニングから始め、出来る限り短時間で競技復帰を目指す。もし、加圧トレーニングが靱帯や腱の治癒・再生にも有効であるならば、スポーツ選手の外傷・障害からの早期復帰を実現させることができると考えられる。 本研究では、膝前十字靱帯(以下ACL)の再建術後患者を対象に加圧トレーニングを行い、再建した靱帯、さらには再建のために採取した腱の再生度合いを評価し、検討した。平成23年度においては新たに女性被験者5名、男性被験者3名を対象に、ACL再建術後1ヶ月の時点から週に2回、我々の管理下においてリハビリテーションプログラムに加圧トレーニングを付加し、臨床データの取得と実験評価データを取得した。さらに、加圧トレーニングが靱帯、腱の再生や治癒に有効であることを裏付けるため、これまでの加圧トレーニング研究で示されてきた生化学的な変化が本実験のプロトコルで起こっているか、また再生途中の腱にどのような変化が起こっているかを証明するため、血流変化を観察するためのMRI撮影、近赤外線分光法による酸素化ヘモグロビンの動態について観察した。統計的な比較・検討については今後被験者数の確保が必要となるが、男女の別、健側患側の別、トレーニングの種類や強度による比較を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階で検討していた靱帯・腱の成熟や再生に関する評価指標が確立し、被験者からのデータ収集に関して計画通り実行できている。対象被験者数の確保については、前十字靱帯再建術の件数によって左右されるため、なコントロール群、トレーニング群ともに今年度の対象人数について確実な予測を立てるのは困難であるが、昨年度までの実績を鑑みると概ね比較・検討できる状況にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは靱帯・腱の再生のうち、主に採取後の再生腱について評価を行ってきた。再生腱は関節外組織であり、採取後の未成熟な状態から腱組織に成熟するという一方向性の変化を辿るため、成熟過程が評価しやすい。一方、再建した前十字靱帯については、採取・移植後の腱組織がリモデリングする過程において、移植直後よりも術後3ヶ月前後の時期に脆弱期をむかえることが動物実験などで明らかにされている。本研究においてはヒトの再建靱帯の治癒過程の評価を非侵襲的に実施することで、縦断的なヒトのデータが取得可能であるが、顕微鏡下での組織学的評価との照合は倫理的にも困難である。トレーニング群のみならず対照群の治癒過程のデータを蓄積し、通常の治癒過程のデータについて、より信頼性のある評価指標を模索する。
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Research Products
(6 results)