2011 Fiscal Year Annual Research Report
反復作業における手指の発揮力の許容限界と作業負担評価法に関する研究
Project/Area Number |
22700687
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小山 秀紀 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (50339743)
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Keywords | 保健健康管理 / 筋骨格系障害予防 / 反復作業の影響 / 手指の発揮力許容限界 |
Research Abstract |
強い力の発揮や不適切な姿勢が無い場合でも上肢の筋骨格系障害が生じ得ることが指摘されている。その中でも製造業における手指の押す・摘む・捻ることを必要とする長時間の反復性の組立作業は、上肢の健康障害を増強させる低強度の作業である。このような反復作業では、皮膚・関節・腱・靱帯などの痛みが想定されるが、いずれも主観的な訴えであり、客観的検査でそのような所見を確認することは困難とされている。こうした課題に対して、本研究では、栂指の発揮力の許容限界値とその要因を明らかにし、対象者が自発的に無理なく発揮可能な力の許容限界に着目した定量的な評価方法について検討することを目的とした。研究実施に際しては、まず製造現場の組立ラインを想定した作業状況にて、反復回数と押し方向の違いが栂指の発揮力に及ぼす影響について力覚センサを用いて調べた。次に、得られた結果を一般線型モデルで解析し、文献値を加えて作業要因と固体要因を考慮した栂指発揮力の許容限界を予測する推定式を得た。最後に、本推定式を用いた演算プログラム、パーソナルコンピュータ、視覚ディスプレイ及び携帯型圧センサから構成される発揮力の許容眼界を予測する評価システムの構築を試みた。本研究の結果より、栂指の発揮力は反復回数と押し方向の影響を受けることが分かった。また、作業要因と固体要因を考慮した発揮力の許容限界評価システムを用いることにより、作業者が無理なく発揮できる力の許容限界値の視覚呈示や普段の発揮力との比較結果をフィードバックすることが可能となり、産業現場における保健健康管理や筋骨格系障害対策への応用が期待できると考えられた。今後、本評価システムを産業現場に適用した場合の効果の検証、例数増加による評価システムの改善が課題として挙げられる。
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