2010 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の予防を目的としたリン食事摂取基準の策定
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22700750
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
首藤 恵泉 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (10512121)
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Keywords | リン / 酸化ストレス / 動脈硬化 / 心血管疾患 |
Research Abstract |
これまでに、ウシ大動脈由来血管内皮細胞(BAEC)における高リン負荷実験により、酸化ストレスのみならず、動脈硬化・炎症関連遺伝子である単球・マクロファージ遊走化因子(MCP-1)、酸化LDLコレステロール受容体(LOX-1)、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の遺伝子発現が、濃度と時間依存的に増加することを見出した。そこで、高リン血症においてどのような遺伝子が強く関与しているのかを探索するために、ヒトにおけるリン負荷試験を行い、動脈硬化関連遺伝子に加え、酸化ストレス関連遺伝子、炎症・免疫関連遺伝子を探索し、食事性高リン血症における糖尿病や動脈硬化等の生活習慣病や心血管疾患の予防に着目した新規のバイオマーカーを同定することを試みた。試験デザインは、我々が行った高リン負荷実験(Shuto E, et al. J Am Soc Nephrol. 2009 ; 20 : 1504-1512)(Nishida Y, et al. Kidney Int. 2006 ; 70 : 2141-2147)を参照し、早朝空腹時、昼食前、食後1、2、4時間後、翌朝に採血と採尿を行った。また、BAECやラットで、高リン負荷により内皮依存性血管弛緩因子(NO)の合成酵素であるeNOSの不活化によりNO産生抑制に伴い血管弛緩率が低下することを見出した。さらに、健常人を対象としたリン負荷試験において、血管内皮機能評価法として血流依存性血管拡張反応検査(FMD)においても同様の結果を得た。そこで、今回のヒトにおける食事性高リン負荷試験においてもFMD測定を行い、ヒト試験で得られた種々のバイオマーカー、進行中であるコホート研究で得られた血清バイオマーカー、食事摂取頻度調査法(FFQ)、身体活動調査の結果などについて多変量解析を用いて統計解析を行い、血中リン濃度や食事中のリン摂取量と相関するバイオマーカーだけでなく様々な調査項目間の関連について探索している。
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