Research Abstract |
平成23年度は,教師自作テストについて,(1)作問・評価過程についてのインタビュー調査,(2)テストの収集及び教師対象のアンケート調査を行った。 (1)については昨年度に引き続き,中学校教師を対象に,定期テストの作成時の思考に関するインタビュー調査を実施した。調査は秋田県及び岡山県の国語,数学,理科教師を対象に実施し,自作した定期テスト問題を参照しながら,問題作成上の手順,方針,ルールについて聞き取り,テストを通じて測ろうとする能力やその到達度,及び定期テストとその他のテストや日常の授業等との関連性等の観点から整理した。これらに加えて今年度は,テスト作成における他教員との関わり,情報共有等についても質問した。 (2)については,テストの収集はインタビューと同時に行う一方,教師対象に実施予定の質問紙調査については,質問項目の作成及び実施対象への協力依頼を進め,実際のデータ収集は次年度に行うこととした。 これらの研究の成果については,日本教育工学会研究会(7月,岐阜大学)及び日本教育方法学会(10月,秋田大学)において研究発表を行った。特に日本教育方法学会では,国語教諭の聞き取りの結果をまとめ,同一教科であっても教師による違いが見られることや,定期テストだけでは把握できない能力についての言及があることを指摘した。そのほか,国内外の教師研究の動向を把握するためイギリス教育研究学会(9月,ロンドン大学)等に参加するとともに,ダンディー大学における教員・学生の研究会において,本研究の概要を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中学校教師に対するインタビュー調査については,研究協力者の協力のもと,秋田県及び岡山県においておおむね順調に進めることができた。収集したデータから,教科別の分析がさらに必要である。質問紙調査については対象や実施範囲について検討が必要であったため,今年度は実施できなかったが,来年度に実施する目途が立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は質問紙調査に重点を置いて研究を遂行するとともに,これまでのインタビュー調査によって得たデータの教科別の分析を進める。また,自作テストを通じて測ろうとしている子どもの能力に関して構造化を進める。 次年度に実施予定の質問紙調査については教師を対象としており,学校現場だけでなく教育委員会の協力も得る.必要があり,調査の進め方について情報交換を進めていく。また研究成果が,日々の教育実践にどのように反映されうるかについても詳しく分析し,成果のフィードバックが有効なものとなるよう努める。
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