2011 Fiscal Year Annual Research Report
MDM2によるp53のユビキチン化を制御する核タンパク質LDOC1の機能解析
Project/Area Number |
22700871
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
那須 亮 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30466859)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / 細胞死 / クロマチン / p53 / MDM2 |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子産物p53は細胞に対するストレスを受け、増殖抑制、細胞死及び細胞老化を誘導することによって細胞癌化を防ぐ転写因子である。p53の発現量の制御は、RINGフィンガー型E3ユビキチンリガーゼであるMDM2によるユビキチン化が主に担っている。我々は、p53とMDM2の両者に結合してそのユビキチン化を抑制する核タンパク質LDOC1を同定した。LDOC1特異的抗体を作製して内在性タンパク質の細胞内局在を観察したところ、核内に局在することを確認した。さらにin vitroでの結合実験を行ったところ、LDOC1はそのカルボキシル末端に存在する酸性アミノ酸リピートを介して、塩基性タンパク質であるヒストンと相互作用することが見出された。そのためLDOC1のクロマチン上での転写調節における役割も明らかにする。 p53野生型の乳がん細胞株MCF-7細胞にsiRNAを導入して、LDOC1の発現を抑制した場合のp53標的遺伝子の発現をRT-PCRにて確認した。その結果、LDOC1の発現を抑制した細胞では、p53標的遺伝子の発現量減少が観察された。p53野生型の乳がん細胞株ZR-75-1細胞でも同様の効果を確認した。さらに、様々なDNA障害性薬剤による刺激を与えた結果、LDOC1は抗癌剤エトポシドによって誘導されるp53標的遺伝子の発現を顕著に制御していることを見出した。 上記の結果をさらに検討したところ、p53標的遺伝子はLDOC1によって発現が制御される群と、制御を受けない群に分かれることが明らかになった。これはLDOC1がp53の安定性だけでなく、標的遺伝子へのリクルートに関与している可能性を示唆していると考えられた。この分子メカニズムを明らかにするために、MCF-7細胞にFLAGタグを融合させたLDOC1を強制発現させた後に免疫沈降を行い、核抽出液からLDOC1を含む複合体を分離した
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Research Products
(1 results)