2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト上皮成長因子受容体変異肺癌に対するチロシンキナーゼ阻害剤の効果に関する検討
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22700916
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宗 淳一 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (90559890)
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Keywords | EGFR-TKI阻害剤 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、EGFR遺伝子変異陽性肺癌に対し、(A)microRNA(miRNA)に注目したEGFR-TK阻害剤の薬剤感受性・耐性の解明、さらには(B)TAE226を代表とする他の分子標的薬の単独またはEGFR-TK阻害剤との併用効果を検討し、新しい治療戦略を探索するための研究である。(A)のEGFR-TKI阻害剤感受性・耐性のメカニズムとmiRNAの検討では、現在感受性株であるPC-9からEGFR-TKI阻害剤長期暴露にて作成した耐性株であるRPC-9との網羅的解析を行い、miR-155・miR-19aなどのmiRNA発現が耐性株で上昇していることを見出している。現在感受性株であるHCC827などから同様の手法で数種の耐性株を作成しており、今後これらの株でも同様の検討を行い、耐性に深く関与しているmiRNAを絞り込んでいく予定である。(B)IGF-IRとFAKの阻害剤であるTAE226は、EGFR変異株(PC-9、HCC827、HEK293T細胞にEGFR変異発現ベクターをトランスフェクションしたHEK293T EGFR変異導入株)において、EGFR野生型株(H1299,A549、HEK293T EGFR野生型導入株)と比較し、リン酸化EGFRの抑制が低濃度のTAE226処理で誘導されることをすでに確認している。その機構を解析するため、EGFR変異蛋白とEGFR野生型蛋白に対するTAE226の結合能を比較するとともに、網羅的にTAE226のEGFR以外のチロシンキナーゼとの親和性を解析し、その有用性を確認しており、学会発表を行い、現在論文作成中である。併用効果に関してはプレリミナリーな結果ではPC-9GRにおいてTAE226とゲフィチニブは相乗効果を示したため、他の細胞株でも併用効果を検討し、相乗効果の機序を解析する予定である。
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