2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22710163
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
山崎 栄一 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (00352360)
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Keywords | 公法学 / 火災 / 消防 / 福祉国家 / 安全 / 高齢者 / 障がい者 / 福祉施設 |
Research Abstract |
本年度は、社会福祉施設に対して、どのような規制・監督ないし給付・助成を行ってきたのかについて、関連法制(消防法-社会福祉法-建築関連法)の整理・分析ならびに実態調査を行った。 具体的には、社会福祉施設等の構造ならびに消防用設備の設置状況に関して、大分県大分市内にある社会福祉施設(「ふれあいの郷 桜坂」)の実態調査を行った。当施設は、防火に関する法規制の複雑さを象徴する施設であった。当施設は、2階建てであるが、1階が県指定の住宅型有料老人ホーム・デイサービスセンター・訪問介護、2階は市指定の地域密着型認知症対応型共同生活介護住宅(認知症グループホーム)となっている。構造的には、1階と2階は全く同じ構造であるにもかかわらず、適用される法規定・権限機関、制度上設置が義務づけられている消防設備ならびに消防設備の設置にかかる助成内容に異なりが生じていた。 2007年6月に消防法令が改正、2009年4月に施行されたことに伴い、グループホーム等が特定防火対象物とされたことにより、防火管理者の選任とともに消防計画の作成、年に2回の避難訓練、消火訓練が義務づけられることになったが、これらのアクションが真に高齢者・障害者の人命救助につながらなければいくら義務づけを行ったとしても、それは単なる「絵に描いた餅に過ぎない」ことになってしまう。そこで、社会福祉施設が実効的な消防計画の作成、避難訓練等をどのように展開していけばいいのかについて、同様に社会福祉施設(「ふれあいの郷 桜坂」)において検討を行った。具体的には、火災図上演習(FIG)を用いた避難訓練を実施していただいた。避難訓練に参加したメンバーが避難の困難さという現実に直面し、今後検討しなければならない課題を発見することが出来た。このような演習・訓練システムの導入は、消防法制の目的である生命保護の実効化につながると評価できる。
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Research Products
(1 results)