2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハイナー・ミュラーのテクストにおけるドイツ語と英語の相関
Project/Area Number |
22720134
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村瀬 民子 早稲田大学, 演劇博物館, 研究員 (40468848)
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Keywords | ドイツ文学 / 演劇 / ハイナー・ミュラー / アーカイブ / シェイクスピア / 戯曲 / 英語 / 翻訳 |
Research Abstract |
ドイツ・ベルリンにあるハイナー・ミュラー・アーカイブを訪問し、ハイナー・ミュラーの未公開テクストにおいて、特に「翻訳」の問題に着目し調査した。このアーカイブでは、従来は簡易にファイルされていた目録を、全5巻にわたる「Findbuch」として2011年に製本するなど、資料の整理に進捗がみられた。昨年度は、アーカイブ調査研究のスタートとして、英語に関連する資料を網羅的に調査し、今年度は、英語に関連する資料の中でも、シェイクスピア翻訳と改作に関する資料を重点的に取り上げた。その結果、例えば、翻訳の草稿に複数の翻訳協力者のコメントがみられるなど、今まであまり知られていない事実を確認した。また、初稿から数次の稿を経て翻訳が完成する過程も理解することができた。ドイツ語圏では、シェイクスピア翻訳は伝統的に文芸上の重要な問題として扱われているので、多くの既訳があるとともに、翻訳論などの関連文献も膨大であり、内容も多岐にわたっている。今回の調査では、ハイナー・ミュラー自身が参照した文献の中でも、従来あまり言及されていない先行訳や、演劇関係者が作成した翻訳論の資料なども発見した。このような調査結果の一部は、日本独文学会で発表することができた。学会では、「翻訳」に関する問題意識は高まっており、何人もの研究者から、資料へのアクセス方法や内容、今後の研究計画などについて質問を受けた。研究実施計画の一環である資料収集については、今年度は、各種の文献に加えて1970年代以降の音声資料集も購入した。
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Research Products
(2 results)