2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720180
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
浅田 健太朗 島根大学, 法文学部, 准教授 (50346045)
|
Keywords | 国語学 / 言語学 / 音声学 / 仏教学 |
Research Abstract |
本研究は、声明譜で使用されるさまざまな記号や注記のうち、言語との関連が深いものを対象として、それらの使用実態を観察することによって、言語上の特徴が声明譜にどのように反映されているかを明らかにしようとするものである。この目的を達成するため、今年度は次の三点を中心に研究を行った。 ○声明譜の探索と調査 今年度は、以下の図書館、文庫において原本調査を実施した。 ・高野山大学附属図書館(2011年5月30日~31日) 譜に多くの記号を付され、本研究において重要な位置を占める『魚山〓芥集』諸本の調査のため、「古本聲明集(金剛三昧院本)」「古本聲明集(櫻池院本)」「古本聲明集(金剛福寺本)」「朝意魚山」「魚山私抄(天文本)」の原本調査を行った。 ・叡山文庫(2012年3月27日~28日) 新資料を発見するため、目録より重要と思われるものを抽出し原本調査を行った。『五悔拍子事」「法華懺法」「例時作法」「随身抄」「水神根本祭文」「神祇講式」「五悔」「金 供養文・唱礼・五悔」「十一面観自在敬礼懺儀」の9点の資料を確認し、書誌調査を行った。 ○声明譜の文献学的な精査 『魚山〓芥集』の室町時代書写本は数が少なく、諸本間の関係を明らかにすることが難しい。今年度調査することのできた朝意本、天文本などの諸本を、譜に付された記号類から見ると、室町時代の写本では、それらが付される位置に大きな異同があることが分かった。これは、江戸時代の刊本の記号類の位置が諸本において固定的であるのと対照的であり、室町時代においては伝承の現場における裁量の大きさを示唆するものと考えられる。 ○声明譜のデータ入力 両会唱禮、及び魚山〓芥集諸本の詞章及び主な記号類について、データ入力を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の原本調査と検討、データの整理が予定通り進捗しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は今年度までに集めた資料と、整理したデータを活用し、諸記号の特徴を記述していく予定である。
|