2012 Fiscal Year Annual Research Report
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22720180
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
浅田 健太朗 島根大学, 法文学部, 准教授 (50346045)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国語学 / 言語学 / 音声学 / 仏教学 |
Research Abstract |
本研究は、声明譜で使用されるさまざまな記号や注記のうち、言語との関連が深いものを対象として、それらの使用実態を観察することによって、言語上の特徴が声明譜にどのように反映されているかを明らかにしようとするものである。この目的を達成するため、今年度は次の三点を中心に研究を行った。 ○[声明譜の探索と調査]本年度は、前田育徳会尊経閣文庫「聲明類聚 二巻」、及び「舎利講式一巻」の原本調査を行った。(2012年11月14日) ○ [声明譜のデータ入力]本年度の作業により、約200点の声明譜の調査を完了した。この調査では、声明譜に用いられる諸記号のうち、「火」「短」「矢」「豆」の短音記号、「持」「延」「長」「引」「ー」の長音記号に注目し、譜ごとの使用状況を精査した。ただし、約50点の声明譜は未調査であり、来年度に行う予定である。 ○[記号の使用実態の考察]声明譜の歴史の中で、各記号がどのような時代に使用されたのかについて分析を行った。現在までのところ、「火」については真言宗、天台宗ともに使用され、使用開始時期も鎌倉時代までさかのぼるのに対し、その他の記号は比較的新しく、南北朝期から室町時代以降まで下ることが分かっている。一般に、江戸期に入ると多様な記号が使用され、機能に差のない複数の記号が一つの譜の中で使用される傾向があり、それは特に真言宗系統の声明譜に顕著である。また、同じ記号であっても、譜によって記号の機能に差異がある場合も観察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の原本調査と検討、データの整理、分析が予定通り進捗しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はこれまでの研究をとりまとめ、声明譜における諸記号の使用実態および、各記号と言語との関係を考察していく。
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