2010 Fiscal Year Annual Research Report
物品運送契約における第三者の地位に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22730091
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
笹岡 愛美 流通経済大学, 法学部, 専任講師 (50557634)
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Keywords | 運送契約 / 荷受人 / 裁判管轄条項 / 商法の改正 |
Research Abstract |
平成22年度は、研究全体におけるフランス法に関する部分を中心に研究を進めた。とくに、1998年の改正から10年以上が経過し、判例および学説における一定の解釈が集積してきたフランス商法典L.132-8条をめぐる現在の状況を調査した。今日における主な争点は、裁判管轄条項をはじめとする船荷証券上の条項について、荷受人に対してどの範囲で、どのような要件のもとで対抗できるのかという点である。これについては、学説上だけではなく、フランス破毀院の中の商事部と民事第一部の間ですら理解の対立が生じており、いまだに議論が収束していない状況にある。 その後、裁判管轄条項の有効性および対抗可能性という論点自体に関心を抱き、関連するフランスの判例(Cass.com., 4 janv.2005, D.2005, p.214)について、商船三井中村ゼミナールにおいて研究報告を行った。また、裁判管轄に関する日本の判例(東京地判平成18年10月31日判夕1241号338頁)についても、早稲田大学海法研究所判例研究会において判例評釈を報告した。 その他、期間中にドイツの海商法改正作業に触れたために、現在司法省に提出されている専門家委員会草案の全文訳を行った。その後、おもな改正点をまとめたうえで、商船三井中村ゼミナールにおいて報告した。以上の成果は、今年度中に公表する予定である。 さらに、近年、運送法を含む商法全体の改正が課題となっていることから、本研究期間中の日本私法学会において「商法の改正」をテーマにしたシンポジウムが開催された。それに関連して、フランスにおける商法典の状況について調査を依頼され、それをまとめたものを公表した。 加えて、日本の商法典に影響を与えたとされるBravardの著作についての翻訳を公表した。
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