2012 Fiscal Year Annual Research Report
医療費分析による医療サービスの経済学的評価と制度・政策形成への提言
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22730189
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
伊藤 由希子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30439757)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 医療費分析 / 生活習慣病予防 / 医薬分業 / 地方自治体立病院 / 保健指導 |
Research Abstract |
平成23年度事業の一部を平成24年度に繰り越した上で,研究活動を行った.平成23年度は技術的な課題からデータベース作成作業の中断をせざるを得なかった.そのため,平成24年度は,まずデータベースの整備により進捗の遅れを取り戻すことを優先した.その上で,本研究課題における着目は以下の2点:(1)医療サービスの消費者の特性や選好(需要)の分析,政策的介入による医療需要の変化の推計,そして(2)医療サービスの供給者の質の比較分析,政策的介入による医療供給の変化の推計である. (1)について,消費者が健診の受診や保健指導の受講を決定する上での要因を考察した.また,疾患別に消費者が,どの病気ならどの医療機関に行くのか,を分析した.保健指導など個人に対する政策的な働きかけが,医療サービスの利用(費用)にどのような効果をもたらしているかも検討した.(2)について,供給者の質の比較として,薬局比較や地方自治体立病院の比較を行った.医療は公的保険の制度の下に供給され,事業者には補助金・交付金等も多い.公的資金が其々の経済合理性(インセンティブの付与,ナショナルミニマムの維持等)の目的に適しているかを注意深く検討した. また,本研究課題をふまえた将来的な研究活動の準備として主に2点:(1)新たな利用可能データの整理,(2)海外専門家との検討会の実施や共同研究の準備,を行った.(1)では,医療供給において,供給者(主に病院)の質を比較する情報が依然として十分でないことから,全国のDPC病院から,入院治療のデータを提供いただくプロジェクトに参画している.現在,地域比較・疾患別比較が可能な状態に整備している(東京医科歯科大学・川渕孝一氏との共同研究)(2)では,海外の医療の時系列データ分析の専門家,および産業規制の専門家と意見交換および共同研究の機会を活用した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度末の時点で,分析上最低限必要なデータ収集は完了し 具体的には,各個人について,基本的な属性情報の他,健診結果,保健指導結果,外来受診・入院・薬剤処方の記録(月別データで5年分)が時系列で整理され,のべ20万人のパネルデータが完成した.各病院については,市町村立など地方自治体病院については7年間のパネルデータにより,基本的な医療提供体制や収支情報を整理した.また各病院の入院データについては,のべ120病院ほどの比較可能な病院数を蓄積している. また,並行して研究成果の発表も進めることができた.(研究成果については別項のリストを参照)研究成果の対外的な広報として,国内学会および大学セミナー(東京医科歯科大学・三重大学)での発表を積極的に行った.また海外の大学(ピサ大学,ユーロピアンインスティチュート大学院大学)での発表と意見交換を行った.日本における医療制度に対する関心は海外でも十分に高いが,それに見合う情報提供(医療サービスの経済学的評価)は非常に不足している.今年度は海外学会発表・海外学術雑誌への掲載を確定したい.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度末の時点で,分析上最低限必要なデータ収集は完了し,また並行して研究成果の発表も進めている.しかし,以下の課題が挙げられるので,引き続き,改善したい.(1)医療供給において,供給者(主に病院)の質を比較する情報が依然として十分でないこと(2)データ量が膨大であるため,研究体制を人的に拡大する必要があること,の2点である. (1)について,本研究では,消費者サイドにおける情報(年齢・性別・既往歴・おおよその経済的な背景)についての情報を豊富に収集しているのに対し,供給者サイドの情報(症例数・医師数・看護師数・高度医療技術の活用・ガイドラインの遵守等)は依然少ない.この状態では,制度・政策形成への提言における具体性と中立性が充分でないため, 引き続き情報収集に努力したい. (2)については,データ量が膨大となり,個人(研究代表者のみ)では,論文執筆や論文報告等の研究活動と,データの分析・保守管理等の(ルーティーンワークを含む)活動の双方を日常安定的に担うことが難しい.従って具体的には人材育成のための教育的投資が時間的にも資金的にも必要である.ただし,これらはそもそもの本研究資金の趣意を越えるため本研究年度以降の課題としたい.
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Research Products
(9 results)