2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730275
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 信介 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (50422655)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 満州移民 / 戦時農政 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1.満州移民が農村にもたらした経済的な影響を明らかにすること、2.長野県飯田市が所蔵している未整理の関連行政文書を整理すること、である。 まず、経済的影響に関して。多くの分村計画で謳われていた農家戸数の適正化は、戦時農政において中農育成を実現する構想にも組み込まれていた。しかし、母村での中農育成が送出により進んだといえる現地資料は確認できなかった。耕作権移譲先の希望調査と思われる資料があり、少なくともこうした農村では、政策当局が構想した中農育成とは異なる論理で、移民政策が展開していたといえる。一方、戦時農政が求めた農業増産に、人員不足により対処できない農村の状況が確認できた。満州移民が戦時農政実施の桎梏となっていたと評価できよう。移民実施後の農業経営の高度化に関する具体的構想を持っていないという満州移民政策の限界は、従来から指摘されてきた。こうした限界があった移民政策は、現地農村が政策当局の構想から逸脱することによって展開し得たといえる。 以上をふまえ、満州移民がもたらした戦時中における農村経済の有り様が、戦後、とりわけ占領期における農地改革にどう繋がりを持っているのかを今後の研究視座としたい。 もう一つの目的資料整理はほとんど進んでおらず、この点については、今後も継続して取り組んでいく。 なお、本研究の成果は、平成25年2月にNPO法人中国帰国者支援の会が主催した講演会にて一部を報告するとともに、金沢大学の出版助成経費への申請を通じて書籍化する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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