2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730350
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
吉田 智也 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (90456286)
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Keywords | 公会計 / 財務会計 / 複式簿記 / 自治体経営 / 地方財政 |
Research Abstract |
平成22年においては、以下の研究成果を得た。 1.米国政府会計基準審議会における「財務諸表の構成要素」の検討 平成22年においては、これまでに分析してきた米国政府会計基準における概念フレームワークのうち、「財務諸表の構成要素」に関して、より詳細な分析を実施した。具体的には、基準策定のデュー・プロセスにおいて、公表されていた「公開草案」から実際の「概念書」となるまでの検討の経過を、丹念に分析し、それがどのような考え方により変更・修正されたものなのかを明らかにした。今後、このフレームワークと、各政府会計・財務報告基準との整合性についても分析の必要があると考えている。 2.政府組織に関する「会計責任」の履行確認のための計算書の検討 一昨年に日本会計研究学会において報告した内容をもとに、米国の政府会計制度の発展史において、計算書に計上される数値によって、直接的にその会計責任を明らかにすることが出来ると主張したKing=Baronの学説を分析した。彼らによれば、政府の会計責任の履行状況は、企業会計における財務諸表とは異なる様式・区分をもつ、2つの計算書によって明らかにされる。ただ、その概念自体は、今日におけるそれとは異なる可能性があったため、その計算書における「会計責任」の内容がどのようなものなのかを中心に検討した。 3.米国政府会計発展史における固定資産情報の変遷の分析 財務諸表やそれを作成するための機構である複式簿記において、政府の財産の1つとして認識されている「資本的資産」がどのように、記帳・計算・報告されていたのかを、米国政府の初期会計史を紐解き、その潮流を明らかにした。基金(資金)管理と同様の方法で始められた「資本的資産」の管理が、その後どのように変化したのか、そして、それをどのように簿記システムのなかに取り込んだかを、複数の学説での扱いを取り上げて分析した。今後、資産の認識に次いで論点となった「資本的資産」の減価償却処理の是非について、検討する必要があると考えている。 4.連結財務諸表基準に関する分析 今後、市町村合併・広域連合など、自治体の枠を超えた会計制度が必要となっていくことを踏まえ、企業会計における連結財務諸表に関する基準の分析を行い、その成果を共著として出版した。
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Research Products
(5 results)