2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本型住宅システムの再編と家族生活・職業生活への影響に関する縦断的研究
Project/Area Number |
22730380
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
村上 あかね 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (20470106)
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Keywords | 社会学 / 社会福祉関係 / 住宅 / 企業福祉 / 家族と職業 / 縦断的データ / 社史 / 家計 |
Research Abstract |
本研究の目的は、持家への移行のタイミングと促進要因、さらに住宅取得が家族生活と職業生活におよぼす影響について明らかにすることを通じて家族生活と職業生活研究の新たな局面を開拓すると同時に、若い家族の生活基盤が安定するような政策提言を目指すことである。 住宅を取得することは、若年期の家族にとって重大なライフイベントの一つである。しかし、雇用が流動化している昨今では、住宅取得は家計への負担・長時間労働・離転職の阻害など家族によってリスクとなりうる。それにもかかわらすなぜ住宅を取得するのか。住宅取得の結果、どのような家族の負担がとくに大きくなり、それにどう対処し、適応するのか。理論的には家族ストレス論に依拠して研究を進める。研究手法は、統計データの分析・インタビュー調査・社史や労働組合の史料の分析など複数の方法を組み合わせる。 平成22年度の主要な成果は以下のとおりである。 1.住宅取得が家計に及ぼす影響について「家計調査」を分析した。バブル期よりも住宅を取得しやすくなったようにみえるが、可処分所得に占める住宅ローン返済額の割合はむしろ増加傾向にある。可処分所得の低下が一因であり、住宅取得が若年家計に負担を及ぼしているといえる。 2.このような負担があるにもかかわらず、なぜ住宅を取得するのかについては、歴史的な経緯を踏まえて考察する必要がある。そこで企業の社内報や社史、住宅金融公庫や公団の社史、労働組合史の閲覧・蒐集につとめ、住宅・不動産業の役割に焦点をあてることが理論的にみても不可欠であるとの見通しを得た。 3.2の成果をもとに、平成23年度に実施するインタビュー調査の地域を確定し調査の準備を進めた。さらに、住宅取得に伴う負担に家計がどのように対処したかを統計的に明らかにするための縦断的データセットの整理と構築も行った。予備的な分析の結果、妻が労働供給を増やしていることがうかがえた。
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