2011 Fiscal Year Annual Research Report
産後抑うつに関する長期縦断研究:早期発見法の確立と地域支援の充実を目指して
Project/Area Number |
22730540
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
松本 かおり 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (20447808)
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Keywords | 産後うつ / 早期発見 / 早期介入 / 地域連携 / 児の発達 |
Research Abstract |
稀な病態ではないpostpartum depression(PPD:産後抑うつ)は、母子それぞれに深刻な負の影響をもたらす可能性があるにもかかわらず、発症しても多くは未受診あるいは適切なサポートを受けずにいる。この背景に、PPDに対する社会的認知度の低さが存在することを踏まえ、本研究では、(1)疫学的手法を用いてPPDの発生に関連する危険因子やPPDの発生を抑制する要因(抑止的因子)について、Hamamatsu Birth Cohort (HBC) Study(浜松出生コホート研究)のデータを用いて探索し、加えて、(2)PPDの母親から生まれた児の発達(認知発達、社会性の発達)の軌跡を検証する。このデータを、PPDの社会的認知度を高める目的で発信するとともに、産前からのハイリスク女性の特定や、PPDスクリーニング法の適正化に利用することを目的とした。すなわち、地域への展開として、PPD早期発見法の確立と早期対応システムの円滑化を図る。 2007年11月に立ち上げたHamamatsu Birth Cohort (HBC)なる多目的出生コホート研究をベースに、妊娠中の母親への面接1回(SCIDを用いた精神障害の既往チェック含む)に加え、出生する小児の発達検査(Mullen Scales of Early Leaming [MSEL]およびMacArthur Child Development Inventory [MCDI]を使用)と母親への簡単な面接を、産後1・4・6・10・14・18・24ヶ月の計7回行い、児の発達の軌跡と、母親の心理社会学的要因についてのデータ収集を行う。PPDスクリーニング・診断には、最も簡便で、世界的にも広く臨床と臨床研究に用いられる、the Edinburgh Postnatal Depression Scaleの日本語版(EPDS-J ; Okano et al., 1996)を用い、産後2・4・8・40週間後にそれぞれ母親に回答を依頼した。EPDS-Jのcut off pointに基づいたPPD判定から、母親がPPDである群と、そうでないcontrol群において、PPD発症に寄与する要因を探索した。
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Research Products
(6 results)