2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730720
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林田 真志 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (00467755)
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Keywords | 聴覚障害 / 名詞 / 動詞 / 共起関係 |
Research Abstract |
本年度は,前年度の健聴な成人を対象とした予備調査の結果をもとに,課題語を精選し,聴覚障害児童生徒を対象として本調査を行う予定であった。しかし,予備調査の結果に一定の傾向がみられず,本調査で用いるべき課題語を精選できなかったため,本年度に再度予備調査を行うこととなった。 予備調査の実施にあたり,『教育基本語彙の基本的研究』(国立国語研究所,2009)から,小学校段階で習得されるべき名詞(20語)と動詞(86語)を抽出した。名詞のカテゴリーについては,「位置・形状・状態・身体」(3語),「感情・言語」(4語),「自然環境・場所」(3語),「抽象概念」(7語),「物体」(3語)を設定した。動詞については,活用形(五段活用,上一段活用,下一段活用),自動詞と他動詞の区別にもとづいて分類を行った。抽出した品詞群をもとに,各名詞と共起されやすいと思われる動詞を複数選択する課題文を作成した(例:席…【あける・そう・たずねる・かう・もうける,…】)。次に,健聴な大学(院)生50名を対象とし,各課題文に対する回答を求めた。彼らを予備調査の対象とした理由は,名詞と動詞の間の共起関係を判定する能力が,充分に成熟していると考えられたためである。現在,共起された名詞と動詞の組み合わせ(共起ペア)と共起させるために使用された助詞について集計を行い,対象者の回答傾向を分析している。分析結果をもとに,次年度の本調査で用いる課題語を精選する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は,前年度の予備調査の結果をもとに課題語を精選し,聴覚障害児童生徒を対象として本調査を行う予定であった。しかし,前年度の予備調査の結果に一定の傾向がみられず,本調査で用いるべき課題語を精選できなかったため,本年度に再度予備調査を行った。このことから,達成度として遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
予備調査の結果をもとに課題語を精選し,聴覚障害児童生徒を対象として本調査を行う。また,併せて対象者の内的要因に関わる情報(聴力,聴覚補償環境,日常でのコミュニケーション手段,読書力等に関するデータ)を収集する。本調査の実施と対象者の回答の集計については,学生をアルバイト雇用して迅速に行う。本調査の結果をもとに,聴覚障害児の回答傾向と内的要因の間の関連性を分析する。分析終了後,その成果を学会誌に投稿すべく執筆作業に従事する。
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