2012 Fiscal Year Annual Research Report
船舶・衛星・フロート観測による北太平洋亜寒帯域の中規模渦に関する研究
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22740303
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上野 洋路 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 助教 (90421875)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 海洋中規模渦 / 北太平洋亜寒帯域 / 船舶 / 衛星 / Argo |
Research Abstract |
本研究で得られた海洋中規模渦の情報を応用し、北太平洋亜寒帯域に設置したトラップで得られた放散虫の増減が海洋中規模渦の接近と関係していることを示した論文が米国地球物理連合学会発行の国際学術誌Journal of Geophysical Researchで出版された。また、衛星海面高度データ、北海道大学水産学部附属練習船おしょろ丸・学術研究船白鳳丸による海洋観測データ、Argoフロートデータを用いて、アラスカ湾で形成されるキーナイ渦の伝播特性および変質過程を調べた論文がJournal of Geophysical Researchで受理・出版された。本論文により、3年半におよぶ長寿命渦であるKenai2006の詳細な発達、変質、消滅過程が明らかになった。特に、渦コア水の変質には水平貫入が重要な役割を果たすこと、さらに渦―渦相互作用により渦のコア水塊が大きく変質することなどが示された。本年度はさらに、北海道大学水産学部附属練習船おしょろ丸により、北太平洋亜寒帯域西部海域において、海洋中規模渦の横断観測を行った。衛星海面高度データ解析により、おしょろ丸で観測した渦は、2011年6月にアリューシャン列島南岸で形成されたアリューシャン渦であることが示された。また、衛星海面高度計データ・衛星海面クロロフィルデータを用いて、海域によって海洋中規模渦のクロロフィル分布に与える影響が異なることを示した。この研究結果は、2012年度日本海洋学会秋季大会にて口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではまず、船舶・衛星・フロート観測による北太平洋亜寒帯域の中規模渦に関する研究(研究課題名)の具体例として、アラスカ湾で形成されるキーナイ渦の形成・伝播・変質・消滅過程を、北海道大学水産学部附属練習船おしょろ丸・学術研究船白鳳丸による海洋観測データ、衛星海面高度データ、Argoフロートデータを用いて明らかにし、その成果を米国地球物理連合学会発行の国際学術誌Journal of Geophysical Researchに発表した。また、当初計画にはなかったが、本研究で得られた海洋中規模渦の情報を応用し、北太平洋亜寒帯域に設置したトラップで得られた放散虫の増減が海洋中規模渦の接近と関係していることを示した論文も国際学術誌Journal of Geophysical Researchで出版された。後者の研究も、異なる手法による観測(衛星海面高度・トラップ)から得られたデータを併せて用いることにより海洋の循環と生物生産の理解する研究であり、本研究の当初目的に沿った成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、衛星海面高度計データ・衛星海面クロロフィルデータを用いて、海洋中規模渦の生物生産への影響の海域による違いに関するデータ解析を進める予定である。その際に渦の強さや季節の影響も考慮して解析を進める計画である。
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