2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750010
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤井 伸行 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (50452008)
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Keywords | イオン液体 / マトリックス単離法 / 赤外分光法 / 量子化学計算 / 蒸発機構 / イオン対構造 |
Research Abstract |
特徴あるイオン液体の性質を理解するために、イオン液体を形成する最少構成体であるアニオン-カチオンのイオン対構造の実験的決定を行った。イオン液体は難揮発性であるために、これまでイオン対の構造決定は困難であったが、蒸発源を工夫することで少量のイオン液体を安定に加熱気化させることに成功した。わずかに気化したイオン液体は希ガスで希釈させた後、極低温で凍結させることで、気体のイオン対構造を保持したまま希ガス固体中に単離させることができた。単離したイオン対を赤外分光測定し、得られた赤外スペクトルを解析することで、気相でのイオン対構造を決定することができた。特に今年度は高精度の量子化学計算を導入して、より正確なイオン対構造を決定した。驚くべきことに、加熱気化したある種のイオン液体のイオン対構造は液相での安定イオン対構造とは異なることが示された。その一方で、気相と液体のイオン対構造が一致するイオン液体も新たに見つかった。今年度は代表的な加熱蒸発可能なイオン液体アルキルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルフォニルイミドほか6種類のイオン対構造を決定し、その一部を論文報告、学会発表など行った。イオン対構造の違いは蒸発機構の違いに起因すると考えられる。イオン対での蒸発ではイオン対間の相互作用を正確に理解する必要があるため、現在、様々なアニオン、カチオンを含むイオン液体の気相・液体それぞれの分光測定を行っている。また一部のイオン液体では蒸発と同時に加熱分解生成物の検出がなされており、生成物の同定も合わせて行っている。
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Research Products
(24 results)