2011 Fiscal Year Annual Research Report
微量必須元素の網ら的解析のための細胞内多元素同時計測法の開発
Project/Area Number |
22750080
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
稲垣 和三 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究室付 (50356490)
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Keywords | 細胞 / 誘導結合プラズマ質量分析 / 多元素分析 |
Research Abstract |
本研究では、細胞内外の多元素動態及び相互作用の網羅的解析を可能とし、これまで見逃していた未知なる生命機構発見に資することを目的して、ICP-MS用の細胞直接導入型インターフェースを開発し、高速スキャニング計測による細胞中微量元素の高感度多元素同時計測技術を確立した。 平成23年度は、単一酵母細胞計測を実現するため、前年度に開発した細胞直接導入型入インターフェースをさらに改良するため、細胞を高効率に導入するための気化室を新規にデザインした。さらに、細胞の導入系内吸着を抑制する手法を新たに確立した。 気化室に関しては、熱流体解析ソフトウェアによるシュミレーションに基づき、異なる形状・容積の気化室を試作し、高速度カメラによる液滴動態観察、ICP-MSに接続した際に得られる感度及び信号安定性に基づいて性能を評価することで最適化を試みた。細胞の導入系内吸着に関しては、検討の結果、細胞分散液に0.1%(w/w)アルカリ金属を添加することで抑制することができた。 単一細胞計測に関しては、高速スキャニングによって計測した信号強度分布とレーザー回折式粒度分布計測によって得られた細胞粒度分布を比較することで、分散液中の細胞を単一細胞として計測可能であることを実証した。さらに、プレートカウンティングにより分散液中の細胞数を計測した結果とICP-MS測定における信号検出頻度を比較することでプラズマへの細胞導入効率を評価した結果、開発したンターフェースによる細胞導入効率は30%以上であり、従来の細胞導入方法の導入効率0.5%程度に対し2桁近く高い効率で細胞を導入可能であった。 本研究では、粒径2-3μmほどの比較的小さい酵母細胞をモデルとして検討したが、開発した細胞直接導入型インターフェースは、10μmほどの細胞まで対応できることから、今後、より大きな細胞への応用展開が期待できる。
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Research Products
(5 results)