2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760068
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
友枝 明保 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究員 (70551026)
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Keywords | 自然渋滞 / 渋滞緩和 / サグ / 高速道路 / 縦断勾配錯視 / 錯視解消 / 側壁パターン / 現象数理学 |
Research Abstract |
高速道路の渋滞を引き起こす最も大きな要因は,「サグ部」と呼ばれるドライバーが上り坂だと気付かない場所であることが知られている.サグ部では,実際は上り坂であるにもかかわらず,ドライバーは正しく道路傾斜を認識できず,適切な加速ができないまま走行してしまう.その結果,車の速度が無意識に低下してしまい,その速度揺らぎの影響で渋滞が形成されるのである.これは,上り坂であることを正しく認識できない錯視現象が引き起こしている渋滞現象と考えることができる.そこで,錯視現象とドライバーの運転挙動の関係を調べるために,今年度は(1)道路上に道幅を狭く見せるための錯視ペイントを施した際の走行速度変化を測定する実験(警察との共同研究),(2)錯視ペイントの錯視量測定実験を行った. (1)の実測実験では,道路ペイントを施すことで走行速度が上がるという結果が得られた.これは,ペイントによって道路上の歩行者の領域と車両の領域が分けられ,整流効果が引き出され,その結果として速度上昇が実現されたと考えられる.ペイントは事故件数を減らすという報告もあり,事故件数を減らしかつ速度上昇を達成できたという点から,錯視現象を利用した渋滞緩和は十分実現可能であることが明らかになった. (2)の錯視量測定実験では,心理物理学的手法である調整法を用いたJavaアプレットを作成した.このアプレットを用いた測定結果から,道路幅過小錯視にも,デルブーフ錯視の内円過小視と同様の効果があることが示唆された.この結果はデータ数がまだ十分ではなく,錯覚の展示会や講演会場でアプレットを紹介しさらなる数のデータを取得していく予定である.
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