Research Abstract |
昨年度と同様に対向流バーナーを用いて,今年度は主に過熱蒸気温度,酸素濃度,粉体サイズを変化させた場合の消炎限界の測定を行った.用いた粉体はポリメチル酸メチル(PMMA)およびポリプロピレンである.昨年度,サイズの小さな粉体やポリエチレンのような安息角の大きな粉体で粉体供給に問題が生じることもあったが,エアーバイブレーターの適切な配置,バッファボックスの大型化および流れの最適化,バーナー上流速度の上昇でより長時間安定な流れを形成させることが可能となった. 直径5μmのPMMA粉体では,常温から750℃の過熱蒸気温度の変化に対し,消炎限界が著しく(10倍以上)上昇することが分かった.これは,気体燃料の場合と同様,主に気体温度の上昇によるものであるが,低温域では,画像の観察から粉体の気化が促進されていることが確認され,その影響も消炎限界拡大に寄与していることがわかった.また5μmのPMMAを用いた過熱蒸気温度500℃,火炎の伸長率300 1/sにおいて,酸素濃度の低下により火炎は不安定になり,消炎限界が急速に低下してしまうことが確認できた.これは,火炎の安定性において,伸長率や温度よりも酸素濃度の影響は大きく,消炎限界を著しく変化させるためである.また,粉体の搬送気体を空気から窒素に変えた実験では,どの酸化剤温度においても消炎限界の大きな変化は確認できなかった.粉体の消炎限界濃度が当量比の表現でおおよそ等しいPMMA,ポリプロピレン,ポリエチレンにおいて,過熱蒸気温度,酸素濃度に対する消炎限界の変化に大きな違いを確認することができなかった.また,ふく射の再吸収に対する消炎限界の影響も,温度変化による影響と切り分けすることが困難であり,今後の課題であろう.
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