2010 Fiscal Year Annual Research Report
ASR膨張メカニズムの解明を目指したシンクロトロン放射光の適用
Project/Area Number |
22760332
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
水田 真紀 立命館大学, 理工学部, 助教 (00411257)
|
Keywords | ASR / 膨張 / 放射光 / XAFS / ゲル / 付着 / 定着 |
Research Abstract |
1.膨張性ASRゲルの化学状態分析 ASRは、コンクリートの劣化原因の一つで、セメント由来のアルカリ分と骨材中のシリカが反応し、生成したゲルが吸水・膨張することにより、コンクリートにひび割れを発生させる現象である。ASRが顕在化した1980年代から様々な研究がなされているが、その発生メカニズムは明らかにされていない。それは、ASRゲルを変質させず、含水状態を保ちながら観察することが困難であったことが一因として考えられる。例えば、EPMAや電子顕微鏡では真空条件下で測定されるために含水状態を維持できないし、さらに、X線回折分析ではコンクリートのような結晶性を持たないアモルファス材料を測定することは困難である。そこで、本研究では、アルカリ溶液中で骨材を反応させ、上澄み液とそれを乾燥させた試料の2種類をXAFS分析した。その結果、ASRにより生成されるゲルは、含水状態と乾燥状態で化学状態が異なる別の物質であることがわかった。 2.膨張性コンクリートを用いたRC梁の曲げ耐荷性状に関する実験的検討 RC構造にとって、コンクリートと鉄筋の付着や定着の良好さは、構造全体の破壊までの挙動を左右する大きな要因である。そこで本研究では、ASRによる膨張量をパラメータとしたRC梁の曲げ載荷実験を実施し、付着性状と破壊形式を確認した。その結果、曲げ破壊を生じるRC梁について、ある程度のコンクリート膨張が生じても、示方書で定められた定着長を有していれば、破壊形式は変化せず、耐荷力、変形ともに膨張する前の状態と同等、あるいはそれ以上の性能を発揮できることがわかった。
|