2011 Fiscal Year Annual Research Report
ASR膨張メカニズムの解明を目指したシンクロトロン放射光の適用
Project/Area Number |
22760332
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
水田 真紀 立命館大学, 理工学部, 助教 (00411257)
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Keywords | ASR / XAFS / 放射光 / 膨張 / a/d / 付着 / 破壊形式 |
Research Abstract |
1、ASRによる生成物の化学状態分析 ASRの発生により生成されるゲルは水分を含んだ状態であり、それを変質させず、含水状態を保持しながら観察する研究はなされてこなかった。これは、通常のX線を適用した分析技術では、試料を真空状態に保つ必要があるために水分を含んだ状態の試料を分析できなかったことによる。そこで、本研究では、これまで適用されてこなかった分析手法であるXAFS(X線吸収微細構造)を適用した。これにより、含水状態のゲルを分析することが可能となった。平成23年度は、セメントペーストブロックを蒸留水に浸漬することでアルカリ分を溶出させたアルカリ溶液に、ASR反応性骨材を漬け込み、生成されたゲルの分析を行った。その結果、ゲルは水ガラスに近い水溶性のシリカゾルであることが分かり、ASRを発生させる生成物の化学状態を同定することができた。 2、ASR膨張がRC梁の曲げおよびせん断耐荷性状に及ぼす影響 本研究では、ASRによるコンクリート膨張量と、載荷条件としてa/d(せん断スパン有効高さ比)を変化させたRC梁の載荷実験を行った。着目点は2点あり、1つはASRによるコンクリートの圧縮強度の減少が与える影響を観察するため、圧縮型破壊形式である曲げ破壊とせん断圧縮破壊を想定し、a/d=3.5と1.1の載荷条件を設定したことである。そして2つ目は、コンクリート膨張が、コンクリートと鉄筋の付着に与える影響を観察するため、定着部で軸方向鉄筋を曲げ上げず、示方書で定められた定着長以上に延伸し、付着部と定着部両方の挙動を確認した点である。その結果、いずれの載荷条件においても、膨張量が2000×10^<-6>までであれば、破壊形式や耐荷荷重に変化がないことを確認した。また、膨張量が1000×10^<-6>までならば、健全なコンクリートと同等の付着性能を見込めることが分かった。
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