2010 Fiscal Year Annual Research Report
応力多軸性に着目した鋼構造物の地震時脆性破壊制御に関する研究
Project/Area Number |
22760340
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
佐々木 栄一 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (40311659)
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Keywords | 鋼構造物 / 応力多軸性 / 脆性破壊 / 延性き裂 |
Research Abstract |
本研究では,鋼構造物の地震時破壊の破壊機構および規準を明確にするため,起点となるき裂の発生規準の整理を行うとともに,地震時破壊に及ぼす塑性拘束に起因した局部的な応力多軸性および鋼材の材料特性,特に,破壊靭性の影響を実験および解析により分析することを目的としている. 平成22年度は,以下の検討を実施した. ・実構造物における局部応力多軸性の把握 実大FEMモデルを用いた地震応答解析を実施することにより,兵庫県南部地震で実際に被災した鋼製橋脚などの実構造物において,地震時にどのような塑性ひずみ履歴,応力多軸性が生じているのかを明らかにし,実際の破壊発生起点と応力多軸性の観点からリスクが高いと考えられる部位に関連性があることをを明らかにした. ・延性き裂の発生規準と塑性拘束の影響 延性き裂を起点とする脆性破壊の分析のため,延性き裂の発生規準について,実験的に検討をおこなった.延性き裂発生には塑性拘束の程度が影響を及ぼすことが想定されたため,切欠きの大きさを変化させた丸棒引張試験片を用意し,破壊実験を実施した.その結果,表面から延性き裂が発生する場合は,応力多軸性の影響のほか,発生ひずみ量の影響が大きいことを確認した.さらに,鋼材の破壊発生規準の適用性および適用可能な条件についても検討し,表面から延性き裂が発生する場合には,発生基準においてひずみ量(相当塑性ひずみ)の影響を考慮すべきであり,その点を踏まえた新たな規準の提案が必要であることを示した.また,予ひずみを10%,20%与えた場合の影響についても検討し,切欠きの存在により,予ひずみ量よりも大きい延性低下が起こりうることを示した.
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Research Products
(3 results)