2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760445
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
上野 佳奈子 明治大学, 理工学部, 准教授 (10313107)
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Keywords | 特別支援教育 / 総合支援学校 / 教室環境 / 建築音響性能 / 意識調査 |
Research Abstract |
障碍のある児童生徒を対象とする特別支援教育の場には、良好な教室環境が求められており、特に音環境は音声コミュニケーションを支え、落ち着きのある室内空間を作るために重要な要素である。しかしながら、障碍のある児童・生徒のための学習空間の音環境の現状を調べた研究はなく、必要とされる音環境を示す指針もない。本研究は、建築環境工学的視点から障碍のある児童生徒のための学習空間の音環境要件を探り、特別支援教育を行うための教室の音環境整備に有用な知見をまとめることを目的としている。 初年度にあたる本年度は、特別支援教育の現状と、障碍のある児童生徒に求められる音環境について理解を深めることを目的に、特別支援学校における詳細な調査を行った。調査対象としては、特別支援学校の設置と運営において、全国に先駆けて先進的な取り組みを行っている京都市立の北総合支援学校(児童生徒約200名、教職員約150名)を対象とした。調査対象校は、オープンプラン教室や可動間仕切りを導入した新設校である。その結果以下が確認された。 1、学習環境の調査:リラックススペースの設置等、特別支援教育に特有の空間設定がみられた。建築音響性能については、天井の吸音処理や遮音性能確保などに不足がみられた。授業時の観察調査及び発生音の録音の結果からは、普通教室でも楽器などを使って大きな音が発生する場面が多く見られ、また泣き叫ぶ、音を出し続ける児童もおり、障碍児特有の発生音が観測された。発生音レベルとしては、クラス人数は少人数ながらも、通常の学校と同程度であった。 2、教員に対する意識調査:教員に対する意識調査から、学齢による教育の目標設定、児童生徒の音に対する感受性、オープンプラン教室の意義などが通常の学校教育現場とは異なることが示唆された。 以上の調査結果について、日本音響学会研究発表会等で報告した。
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