2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22760445
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
上野 佳奈子 明治大学, 理工学部, 准教授 (10313107)
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Keywords | 特別支援教育 / 教室環境 / 建築音響性能 / 音識調査 / 障碍児 |
Research Abstract |
本研究は、建築環境工学的視点から障碍のある児童生徒のための学習空間の音環境要件を探り、特別支援教育を行うための教室の音環境整備に有用な知見をまとめることを目的としている。二年度目にあたる平成23年度は、初年度に行った総合支援学校を対象とした実態調査結果を受け、改善手法の実験的導入、さまざまな特徴をもつ特別支援教育施設における施設及び教育活動の実態、音環境に対する要望を把握するための調査を行った。 音環焼の改善手法の実験的導入に関しては、難聴児童が在籍する一般学級において、教室内の反射音により音声聴取・理解に支障があるケースに対して、教室内の音響特性を実測により把握した上で吸音材料の必要量を算定し、改善を図った。この対策によって、当該児童にとっての聴取環境を改善する効果が得られたことを確認した。 特別支援教育施設における実態調査については、知的障碍・聴覚障害・視覚障害等の対応障碍種、国立・私立・公立等の学校の規模や運営方法、オープン型・ユニット型・閉鎖型といった教室タイプなど、特徴が異なる12の教育・支援施設において、音環境の面から実態調査を行った。施設及び授業活動の見学、教員に対するヒアリングを行った結果、児童の特性を踏まえた教室の在り方や学校毎の建築的特徴、運用上の工夫、施設に対する評価と要望についての知見が得られた。現状としては、特別支援学校に必要な建築音響的措置は、教員の要望を汲み取るかたちで設計に取り入れられているものの、適切な音響的配慮に欠ける事例もみられ、課題が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までに行った総合支援学校及び12の教育・支援施設における実態調査を通じて、建築環境工学的視点から障碍のある児童生徒のための学習空間の音環境要件を探り、特別支援教育を行うための教室の音環境整備に有用な知見をまとめるという研究目的を達成しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った調査結果のまとめと公開、当初計画していた環境改善手法の実験的導入と効果の検証については、来年度引き続き行う予定である。
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